前回の記事「均一性のNECと一点突破の日立」で、NECのDRAMプロセスが「病的なまでの潔癖完璧主義の均一性第一主義」であることを紹介した。

 2012年のエルピーダメモリ経営破綻、それに続くルネサス エレクトロニクスの官民連合による買収、ソニー、パナソニック、シャープの大赤字、社長交代、大規模なリストラ。これらの派手なニュースの陰に隠れていたが、最近、NECに関する報道が目につく。

 どうやらNECが苦境に陥っているようだ。今回は、まず、NECに関する最近の新聞報道を2つ取り上げる。その上で、かつては多くの世界1位や日本1位の製品を生み出し、日本を代表する総合電機メーカーであるNECに一体が起きているのかを考える。

ガラケーだけになったNEC

 「NECスマホ撤退へ、“どこもファミリー”終焉」(日本経済新聞、2013年7月18日)

 2001年にNECは(後にガラケーと呼ばれる)携帯電話の国内市場で28%のトップシェアを獲得していた(図1)。ところが、2010年にカシオや日立製作所と事業を統合(後に日立撤退)したにもかかわらず、2012年のシェアは5.3%まで低下した。

図1 日本国内携帯電話出荷台数(含スマホ)の2001年(左)と2012年(右)の比較
(出所:日経新聞2013年7月18日)

 NECはPC事業を統合した中国レノボとスマートフォン(スマホ)も事業統合を目指したが合意に至らなかった。そして、NTTドコモがスマホをソニーと韓国サムスン電子の2社に集中する「ツートップ戦略」を採用した。日経新聞によれば、ツートップに入れなかったNECをはじめ富士通やパナソニックなど国内メーカーの渉外担当幹部は、NTTドコモの目と鼻の先にある経済産業省の商務情報政策局に、顔色を変えて駆け込んだという。

 しかし、決定は覆らず、旧電々公社時代から続いたドコモファミリーは終焉し、2013年6月までのスマホ販売台数は、ソニーとサムスン電子の2機種が合計123万台に達した一方で、パナソニックは1万5000台、NECは1万台に落ち込んだ。