先週6月23日、参院選の前哨戦と位置づけられた東京都議会議員選挙が行われた。その結果を改めて振り返ってみたい。

 自民党が59人、公明党が23人の全員当選で、自公が圧倒的な過半数を確保した。それまで第一党だった民主党は、前回の54人当選から15人の当選へと激減した。また共産党は、8議席から17議席へと倍増以上の躍進を果たした。みんなの党も1議席から7議席に躍進したが、日本維新の会は3議席から2議席に後退した。生活の党、社会民主党、みどりの風は1議席も確保できなかった。

 さて、問題は、この結果をどう考えるかだ。

政党の体を成す政党と成さない政党の明暗

 1つの特徴は、政党の体を成す政党と成さない政党の明暗がくっきりと表れたということだ。

 自民党、公明党、共産党は、それぞれに程度の差はあるが党組織、後援会組織、支持組織が強固に形成されてきた。党首や執行部体制、党としての綱領や規約も整えられ、党首や党執行部の指導性が確保されている。政党である以上、それぞれの党員がその政党が目指す綱領路線に一致団結していくのは当然のことである。そうでなければ、政党としての責任は果たせない。少なくとも、この3党にはそれがあった。

 何よりも決定的に違うのは、3党がそれぞれに党組織、後援会組織をそれなりに整備し、地道な地域活動を行ってきたことである。共産党の場合には党支部を中心に、公明党の場合は創価学会を中心に、自民党の場合は町内会や商工団体、業界組織を中心に、という違いはあるが、地道に1票を積み上げる努力をしてきた点は共通している。

 この3党と比較して、生活の党、みどりの風などは、およそ政党の体を成していない。小沢一郎氏率いる生活の党は、3人の候補者を立てたが、港区1844票(得票率3.2%)、板橋区4977票(同2.6%)、西東京市2742票(同4.5%)といずれも供託金没収ラインの10%を大きく下回った。みどりの風も目黒区に1人を立候補させたが6463票(同7.3%)しか得票できなかった。

 この両党は、ほとんどが民主党から逃げ出した議員で構成されている。要するに、民主党では選挙に勝てないので、“初めに民主党からの脱出ありき”の連中による烏合の衆に過ぎない。地道な集票活動もせず、ただスローガンと風任せの政党に都民が期待を寄せなかったのは当然である。

「安定」がキーワードの1つだった

 公明党の山口那津男代表は、「政治の安定を求める有権者の思いは非常に強い」と語ったが、この「安定」という言葉は、今回の都議選のキーワードかもしれない。