カリフォルニアでのあのカラ騒ぎは一体何だったのか。首脳会談直後の記者会見記録などをじっくり読んだが、前宣伝のわりに中身はなかったようだ。予想されたこととはいえ、進展らしい進展は北朝鮮の「非核化」に関する合意確認ぐらい。これだけで今後の米中関係の方向性を占うことは難しいだろう。

 今回、米側の最大の目的はバラク・オバマ大統領と習近平総書記との個人的関係構築だったという。それではあの2日間で両首脳はどこまで親しくなったのだろうか。今回は、報道された資料・記録と筆者の独断と偏見により、米中首脳同士の「相性」について考えてみたい。(文中敬称略)

手放しで喜ぶ中国

米中両首脳、気候変動に協力して取り組むことで一致

米カリフォルニア州で行われた米中首脳会談〔AFPBB News

 米中首脳会談に関する報道が多かったわりに、情報源は限られていた。包括的なものとしては、6月8日に杨洁篪国務委員が、9日にトーマス・ドニロン安全保障担当大統領補佐官がそれぞれ開いた記者会見ぐらい。

 それすら、具体的内容に踏み込んだ部分はごく一部で、首脳会談の全貌は今も明らかにされていない。

会見内容:中国側(中文)はこちら。米側(英文)はこちら

 6月8日の記者会見で杨洁篪は、今回の中米首脳会談が「歴史的」なものであり、両国首脳は中米の「新型大国関係を共同で構築していくことに同意した(两国元首同意,共同努力构建中美新型大国关系。)」と手放しで評価していた。

 さらに、今回の首脳会談は、「交流の深さ、広さもこれまでにないもので、双方が中米関係を高く重視していることを示し、新たな時期の中米関係の発展の需要に適し、中米関係の戦略的意義とグローバルな影響を具現化した(交流的深度和广度,都是前所未有的,反映了双方对中美关系的高度重视,适应了新时期中美关系发展的需要,体现了中美关系的战略意义和全球影响。)」とも述べている。

 こうした評価の是非はともかく、少なくとも今回、オバマが「新しいタイプの大国間の関係」なる概念に言及したことは事実だ。「習近平国家主席は、中国が提唱した『新型大国関係』を米国の大統領に認めさせるなど、大きな外交的成果を収めた」こんな調子で中国側は今後も国内宣伝を続けるに違いない。