米国の初代大統領ジョージ・ワシントンは、英国にとっては反乱軍の親玉である。歴史の解釈は立場によって異なるので、中国が対日戦勝利を祝い、韓国が日本の敗戦日に独立記念式典をやっても日本は何らクレームを付けない。

 今日の中国や韓国は自国の行状を不問にして、不安定な国内情勢やそれに起因する異常なナショナリズムを日本批判でかわしてきた。尖閣諸島問題も、靖国参拝や従軍慰安婦問題も中韓の内政上から派生した問題である。

 福沢諭吉は「支那朝鮮に接するの法も隣国なるが故にとて特別の会釈に及ばず。(中略)我は心に於て亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」(『脱亜論』)と断言した。支那朝鮮の自尊自立を願って支援したが、叶うどころか反旗さえ翻されたからである。今も何ら変わらないのではないだろうか。

中韓の無法・強引は昔も今も同じ

 中国は2ケタ台の軍事予算増強を二十余年続け、不透明さは増す一方であるが、決まって「平和目的のため」と主張する。その一方で、日本が10年余にわたって減額し続けた防衛費を1%強増やしただけで「軍事大国化」に突き進んでいると批判する。

 また、過去に結ばれた条約には不平等下であったなどの難癖をつけて守らず、強引に自国の主張のみを通そうとする。韓国はいまだに李朝時代の小中華の残影を残しており、中国と類似の行動を取ることが多い。

 両国は自国内に問題が発生すると処理に困り、日本に関連付けて解決しようとする。条約締結で決着している、あるいは内政干渉であると日本が反論すると、決まって「歴史を反省していない」と言って、「歴史認識」に問題化する。

 こうして未来志向を目指す約束は忘れ去られ、瞬時に元の木阿弥に帰ってしまうのが常である。

 大正8(1919)年、遭難した中国福建省の漁民31人が尖閣諸島に漂着した。石垣島の人々が手厚く看護し、中華民国駐長崎領事が「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」と明記した感謝状を出している。

 日中国交正常化時には尖閣諸島問題には触れたくないという中国に配慮して、日本も触れなかった。それがどうして、今になって尖閣諸島は中国のものという主張に変わるのか理解に苦しむ。

 昨年の国連総会では、古来中国のものであった尖閣諸島を「日本が盗み取った」と喧伝して恥じなかった。今ではさらにエスカレートして、沖縄も中国の領土であるとさえ言い募るようになってきた。

 一方、韓国が朝鮮人慰安婦を問題にしたとき、日本政府は徹底した資料調査を行った。その結果、朝鮮人が募集した慰安婦に日本軍が人道的観点で関わった資料はあったが、日本軍が募集し強制的に連行した、いわゆる「従軍慰安婦」を証拠立てる資料は見つからなかった。

 しかし、「強制連行を認めれば韓国政府の責任で幕引きとするとそそのかされ」(杉原誠四郎著『外務省の罪を問う』)た河野洋平官房長官(当時)は、政治的配慮で日本軍の強制連行を認める「河野談話」を出した。