MRIC by 医療ガバナンス学会 発行

 乳を飲んで育つのがほ乳類の特徴ですが、人間だけが、大人になっても、他のほ乳類の乳を飲んでいます。人間が他のほ乳類の乳を利用し始めたのは、なんと今から、およそ1万年前のメソポタミアと言われています。牛乳は、カルシウム、ビタミン、脂質やタンパク質などの栄養素を豊富に含むため、これまで栄養価の高い食品として利用されてきました。

 ところが最近では、「牛乳の脂肪分が肥満の原因なるのでは?」という懸念が持たれるようになっています。では、牛乳には脂肪分がどのくらい含まれていると思いますか?

 「牛乳」と一口に言っても、広い意味での「牛乳類」を差す場合、実際には市場にはいろいろな種類のものが出回っています。パックを見てみて下さい。

 「種類別」という文字が四角で囲ってあり、それに続いて「牛乳」「成分調整牛乳」「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」、あるいは「加工乳」や「乳飲料」といった表示まで、さまざまに分かれています。あなたがどれを選ぶかによって、かなり成分が異なってきます。

 この「種類別」分類に従えば、水や添加物を混ぜたり成分を除去することは一切せず、生乳(牛から搾ったままの乳)のみを加熱殺菌して使用したものを「牛乳」と呼び、乳脂肪分を3.0%以上、無脂乳固形分を8.0%以上含んでいます。

 一方、生乳から水分、乳脂肪分、ミネラルなどの一部を除去し、成分が調整された牛乳が「成分調整牛乳」です。中でも特に乳脂肪分が、0.5%以上1.5%以下なら「低脂肪牛乳」、0.5%未満だと「無脂肪牛乳」と分類されています。

 なお、生乳や牛乳またはこれらを原料として製造した乳製品(脱脂粉乳・クリーム・バターなど)を加工したものが「加工乳」で、生乳や乳製品を主原料にビタミン・ミネラル・カルシウムなどの栄養分や、コーヒー、果汁などを加えたものが「乳飲料」です。

 ちなみに米国の牛乳は、「Whole milk」と呼ばれる乳脂肪分3.5~4.0%の全乳のほか、乳脂肪分2%の「Reduced fat milk」、乳脂肪分1%の「Low fat milk」、そして「Skim milk」「Fat Free milk」「Non Fat milk」と呼ばれる乳脂肪分0~0.5%の無脂肪乳 (脱脂乳)に分類されます。

 2005年、米国小児科学会(American Academy of Pediatrics, AAP )と米国心臓協会(American Heart Association, AHA) は、「2歳以上のすべての子供は、飽和脂肪酸の摂取量を減らして過剰な体重増加を予防するため、乳脂肪分1%以下の低脂肪乳あるいは無脂肪乳を飲むこと」を推奨しました。

 例えば、コップ3杯の全乳の代わりに低脂肪乳あるいは無脂肪乳を飲めば、約200kcal摂取を減らすことができます。

 というのも、米国では子供の肥満が非常に深刻です。小児の肥満は過去30年間で3倍以上に増え、2008年には、子供や若者の3分の1以上が体重過多または肥満と判断されました。今の子供は親の世代より平均寿命が短いと予測されています。