ついに、日本でも国際会計基準(IFRS)を適用する会社が現れた。水晶デバイスを製造する「日本電波工業」である。同社は2010年3月期の連結財務諸表をIFRSに沿って作成した。
日本で、国際会計基準という言葉が出てきたのは「ERPツール群」が出てきた時からであろう。
1995年頃、国外投資家は日本の株式市場を「非常にグレーなマーケット」と見ていた。その理由としては、1つは上場企業の不正経理である。
当時は上場企業による何十億円という脱税が後を絶たない時代だった。それらの企業は「会計処理上の解釈の相違があった」とだけ説明し、指摘された納税額を払った。
もう1つの理由は、日本独自の会計基準である。外国投資家から見て、自分たちの会計基準(IFRS)と違う会計処理をしている国の株式に、どうして投資できるだろうか?
日本企業の中でも、特に海外マーケットに上場しているグローバル企業や海外投資家の投資対象となる企業がこぞってERPツールを導入した。その狙いとしては、外国投資家に対して「あなた方と同じツールベンダーのERPツールを使って出した決算ですから信用してください」というメッセージの意味合いも強かったように思う。
2005年にはEUが全上場企業の連結財務諸表にIFRSを強制適用した。米国では2011年までに強制適用の最終決定をし、2015年以降はすべての上場企業に強制適用となる見通しである。
日本では、2010年3月期より任意適用とし、2012年までに強制適用するかどうかを判断し、適用となる場合は、2015年または2016年に上場企業に強制適用となる。
ソフトの一部カスタマイズでは対応できない
ここで、IFRSがIT業界にもたらす影響を見ていきたい。
まず、上場している会社や上場予定の会社にERP製品や会計ソフトを提供しているベンダーは、IFRSに準拠した製品をリリースしなければならなくなる。