アドビ、携帯版「フラッシュ」の開発中止

米カリフォルニア州サンノゼにあるアドビシステムズ本社〔AFPBB News

 長年米アドビシステムズで最高技術責任者(CTO)を務めてきたケビン・リンチという人物が米アップルに移籍したというニュースが話題になっている。

 リンチ氏は米マクロメディア出身の技術者で、2005年に同社が買収されたことに伴いアドビに入社した。

 マクロメディアの技術であった動画・マルチメディアプラットフォーム「フラッシュ(Flash)」をアップルのスティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)がアイフォーンなどのiOS端末に採用しなかったことから、アドビはアップルを批判したが、同氏はその時の中心的な人物として知られている。

 そのリンチ氏がここに来てなぜアップルに移籍したのかと驚きが広がっているわけだ。米オールシングスDによると、アドビからアップルに移籍した人物はこれまでもいた。しかしリンチ氏はその中でもCTOという最も高い地位の役職を務めた人物で、このことも皆を驚かせているという。

パッケージソフトのクラウド化を進めた立役者

 ただ、今回の動きはリンチ氏とアップルのある思惑が一致した結果だと見られている。オールシングスDによるとリンチ氏はアドビで次期CEOを狙っていた。しかしアドビのシャンタヌ・ナラヤン現CEOにはこの先当面引退する意向はなく、リンチ氏はよりやりがいのあるポストを探していたという。

 一方アップルでは、昨年の地図サービスの失敗から、iOS部門のトップだったスコット・フォーストール氏が辞任した。これに伴い組織再編を行い、フォーストール氏が担当していた地図アプリと音声アシスタントの「シリ(Siri)」の事業を、クラウドサービス「アイクラウド(iCloud)」 などを手がけるオンラインサービス部門に統合した。

 これにより同部門はアイクラウドや地図、シリに加え、音楽配信のアイチューンズ(iTunes)、アプリ配信のアップストア(App Store)、広告事業の「アイアド(iAd)」などと事業分野が多岐に広がってしまった。