米アップルは29日、2人の幹部がまもなく退社すると発表した。そのうちの1人は、故スティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)の弟子と言われたスコット・フォーストール氏。同氏はこれまでモバイル基本ソフト(OS)「iOS」部門の上級副社長を務めていた。
地図アプリの引責辞任か?
この日はちょうど米マイクロソフトが「ウィンドウズフォン8」のリリースを発表したり、グーグルが新型スマートフォンとタブレット端末を発表したりと大きな話題があった。
しかし、長年にわたりアップルに勤めていた重要人物の辞任とあって、海外メディアはこちらのニュースで持ち切りとなった。
フォーストール氏は、もともとスティーブ・ジョブズ氏が設立したネクスト(NeXT)という高性能コンピューターの会社に勤めていたが、この会社をアップルが買収し、ジョブズ氏がアップルの経営トップに復帰した1997年に移籍した。
現在のアップルのパソコンOS「Mac OS X」は、このネクストで開発された技術が多く使われており、フォーストール氏は Mac OS X の初期からの開発者として、各OSのリリースに携わり、発表イベントにもたびたび登場した。
ここ最近は、アイフォーン(iPhone)やアイパッド(iPad)といったアップルの主力製品のOS部門上級副社長を務め、ユーザーインターフェースのほか、音声アシスタント機能「シリ(Siri)」や地図アプリなどの開発を統括していた。
アップルは同氏の辞任の理由を明らかにしていないが、米ウォールストリート・ジャーナルは事情に詳しい関係者の話として、地図アプリの失敗や、ほかの幹部との不和が原因と伝えている。
同紙によると完成度の低かった地図アプリに関する謝罪文にフォーストール氏が署名するのを拒み、その後同氏は辞任に追い込まれた。