2月24日放送の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、中山氏がTPP交渉参加問題について解説したほか、竹島問題をめぐる日韓関係などについて語った。
TPPのルール作りに参加しなければ、反対すら主張できない
中山 ワシントンを訪れていた安倍(晋三)首相が2月24日、オバマ大統領との初の日米首脳会談を終えて帰国しました。
焦点のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について両首脳は、「交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」などとした共同声明を発表。安倍首相は、聖域なき関税撤廃が前提ではないことが確認されたとして、早期に交渉参加を決断したい考えだと報じられました。
今回の日米首脳会談に関する報道は、各国のメディアによって大きく異なるようです。例えば、中国メディアは安倍首相が米国側に冷遇されたとする否定的な報道ぶりである一方、韓国のあるメディアは日米関係の改善によって、米韓あるいは日米韓の関係にもプラスになると評価しています。
色々な意見がありますが、私は前民主党政権の3年3カ月で崩れた日米関係を再構築する良いきっかけになったと思います。米国政府は安倍首相をリラックスした雰囲気で歓迎してくれたと感じましたし、会談も和やかなムードで進み、両首脳が歩み寄る様子も見られました。
普天間基地移設問題をめぐる鳩山(由紀夫)元首相の「トラストミー」発言をはじめ、民主党政権の失政の繰り返しで日本の信用が損なわれていた中、オバマ大統領も久々に“打てば響く”相手が来たと感じたのではないでしょうか。
国内では、日本がTPP交渉参加の場に引きずり出されたのでは、という意見もありますが、私はそうは思いません。自民党の政権公約集(Jファイル)には「聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上は交渉に参加しない」と明記しており、安倍首相はその国民との約束にのっとって判断するとオバマ大統領に伝えてから会談に臨んでいます。
ですから、今後もしっかりと議論を重ねていくことが大事だと思います。また一方、食料自給率がカロリーベースで約40%と、多くを輸入に依存している日本が、今後いかに食料を安定的に供給すべきなのかを考える必要があります。
そのためにも、まずは世界に出てルール作りから参加し、決まったルールの中で国として最大限の利益を追求すべきではないでしょうか。例えば自分の住む街でも、より良い地域づくりをしようと思ったら、自治会の会合を開いて参加するのは当然です。