インターネットによる選挙運動が7月の参院選から解禁される方向で調整が進んでいる。2月22日、自民・公明両党が電子メールを除いて全面解禁する公職選挙法改正案を与野党協議会で示し、日本維新の会なども同調した。

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自公両党は今国会での公職選挙法改正案成立を目指す〔AFPBB News

 有権者への電子メールの利用に関しては、自民・公明両党が政党と候補者のみに認めることを主張し、日本維新の会、生活の党、社民党、みどりの風、新党改革が賛同している。

 これに対し、民主党とみんなの党は電子メールの利用を第三者も含めて解禁するように求め、共産党は第三者の電子メールの利用は個人に限り、企業や団体は含めないよう主張。この意見の相違についてはまだ互いに妥協点を模索している状況だ。

 いずれにせよ、ネット選挙解禁はカウントダウンに入っている。

ネット選挙を選挙戦術の1つだと矮小化してはいけない

 2月19日、憲政記念館にて「ソーシャルメディアが政党政治に引導を渡すのか?」と題された討論会(ソーシャルメディアウィーク東京2013)が行われた。

 この討論会には、各党の議員や、思想家の東浩紀氏、グーグル日本法人前社長の辻野晃一郎氏、ジャーナリストの津田大介氏とともに、僕もスピーカーの1人として参加し、ソーシャルメディアと政党政治について議論を行った。

 ネット選挙解禁を目の前にしたいま、ネットを選挙活動に利用し、来るべき7月の参院選で有利に選挙戦を展開したいという点に政治側の視点がひとまず偏重している感がある。

 しかし本来は、その視点にとどまることなく、ネット、ソーシャルメディアと政治や選挙が接近することで、これからの政治や選挙制度のあり方そのものも併せて見直していく必要があると考えている。

 「ソーシャルメディアが政党政治に引導を渡すのか?」というこの討論会のテーマも、そこで重要となるアジェンダのひとつだ。

 そもそも政党とは、政治における主張や政策に共通点のある者同士が集まり、意見の集約と政策の統一を図りながら、政策の実現に向けた活動などを行う団体だ。

 歴史的に、政党は特定の階級や階層、利益団体の意見を反映する機能を担ってきた。しかし、日本ではそれらの色彩が次第に弱まる一方で、国民それぞれの意見が多種多様化、個々にバラバラの行動を取る傾向が強まり、その機能を見失いかけている側面がある。