ノルトライン・ウェストファーレン州出身の女子大学生サラ・Pさんが精子提供で生まれたと報道され、彼女の言動が国内で大きな話題となっている。サラさんは実の父親を知りたいとドナーの開示を求めたが、精子提供先から回答を得ることはできなかった。

 しかし、2月6日、同州上級裁判所は、サラさんの生物学上の素性に関する情報の開示を認める判決を下した。サラさんの勝訴は誰も予期していなかった。

大学入学資格試験の最中に知った出生の秘密

 サラさん(21歳)が精子提供により生まれたと知ったのは4年前のことだった。ちょうど大学入学資格試験準備に追われている最中に、母親がリビングルームに来てほしいといった。

ドナー精子による妊娠の確立は、15%から20%ほど。妊娠するまで何度も人工授精を試みるカップルも多い ©JMG/pixelio.de

 「あなたのパパは本当の父親ではないの・・・」と、母親は涙ながらに話し始めた。

 「ママ、一体、どういうこと?」

 「あなたは匿名提供者の精子によって人工授精で生まれたのよ。あなたがいままで父親と思っていた男性は、生殖不能なの・・・」

 父と母、そして子供というごく当たり前だった家族の構図が一瞬にして崩れ去り、サラさんの日常は突然にしてすべてが変わってしまった。「父親だと思っていたのに、本当は違う」という話はよく聞くが、まさか自分の身に降りかかってくるとは思ってもいなかった。

 母の告白を聞き、サラさんは足元から崩れ落ちるようだったという。「自分は両親が愛し合って生まれた子供ではない・・・」という事実を受け入れるのは非常に苦痛だったと明かす。