CES(Consumer Electronics Show)では3000人くらい収容されるホテル会場で、何回か基調講演(英語ではKeynoteと言う)が開催される。
「基調講演」と言うと堅苦しいイメージをお持ちの向きもあるだろう。スピーチ台を前に原稿を読み上げ、聴衆が畏まって聴く雰囲気。難しそうと考えて行かない人も多いに違いない。
基調講演はまるでエンターテインメント
しかし、海外、特に米国カンファレンスの講演は、むしろエンターテインメントショーに近い。開始前にはスモークが焚かれ、大音量の音楽が流れる。司会によるスピーカー紹介もライブコンサートのように盛り上げる。
講演の途中でも、無意味にダンサーが出て踊ったり、音楽ライブが突然始まったりする。映像、ライティングも凝っている。ただ座っているだけで楽しい。
基調講演には日本語の同時通訳もつくので、英語が分からなくてもOK。元ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュ、シルク・ドゥ・ソレイユ、テイラー・スウィフトなどなど、ショービジネスの人気者が出てくるときもある。
また、CESには世界60カ国以上、1800人のジャーナリストが集まる。イベント参加者全体では世界170カ国から3万5000人、米国内を合わせると合計で15万以上。ちなみに、日本からの参加企業は米国、カナダ、韓国に次いで4番目、1600人である。
こうしたメディアがCESで起こったことを世界にすぐ伝える。もちろん、参加した人がそれぞれツイッターでつぶやくだろうし、CESオフィシャルサイトでは動画も公開されている。だからこそ、話す側も気合いを入れる。
こうした誰もが楽しみにしている基調講演(キーノート)の雰囲気を今回は紹介してみたい。
クアルコム社オープニングキーノートの豪華なゲスト
毎年恒例のCESプレイベントのオープニングキーノートは、クアルコム社のポール・ジェイコブスCEOが登場した。
その様子を時間軸で追ってみよう。
CESを主催するCEA(全米家電協会)のゲイリー・シャピロCEOが、ジェイコブスCEOを紹介する。すると、「BORN MOBILE」というテーマが舞台背面にドーンと映し出され、映像が始まる。
そのあと、ジェイコブス氏が登場。話を始める。そして開始7分、いきなりマイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOが登場。