バンクーバー新報 2012年11月1日第44号

 BC州の親の5人に1人が、自分の子供はサイバーいじめの被害に遭っており、3分の2の親は自分の子供が従来型のいじめに遭ったことがあると答えていることがわかった。(関連記事「サイバーいじめによるアマンダ・トッドさんの自殺」=JBpress編集部)

 この調査は、バンクーバー・デジタル・マーケティング・カンパニー「6S」の依頼で調査会社「インサイツ・ウエスト」がオンライン上で実施した。その結果、504人から回答が得られた。

 調査を実施したインサイツ・ウエストのスティーブ・モソップ社長によると、子供は一般に親にすべてを話したがらない傾向があるので、この数字は「少なく見積もっても」という条件付きだと推測している。

 以前、米国で同様の調査をしたものがあるが、それによるとサイバーいじめの被害者は10人に1人程だったので、カナダのこの数字は驚くほど大きいということになる。

 ユーチューブに自らが巻き込まれた、おぞましいいじめの様子を公開した15歳のアマンダ・トッドさんが10月10日に自殺をしたことが広く世間の同情を集めているが、社会の暗部に蔓延しつつあるサイバーいじめを撲滅しようという動きも一方では出てきている。

 アマンダさんの母親のキャロルさんは、「従来型のいじめがサイバー上に広がりつつあることに多くの親は気が付いていない」と親の喚起を促し、デスクトップやノート・パソコンだけでなく、スマートフォンや携帯型のコンピューターの普及によって1日中オンライン漬けになっている子供や若者が増えていることに警鐘を鳴らしている。

 6Sのクリス・ブリークス社長は、「社会からいじめをなくすために声を大きく上げて行動しなくてはならないと考えている。いじめや嫌がらせは子供だけの問題ではなくて、大人の社会にも広がっている」と訴えている。

 この調査では大人のいじめについても言及しているが、大人の8%がサイバーいじめに遭ったことがあると明かしている。大人の中でも1日に最低1回はフェイスブックやツイッターを使用している人では、サイバーいじめの経験者は12%にまで上がっている。

 年齢層で見ると、こうした体験をしているのは18歳から34歳までのグループが最も多く15%。35歳から54歳のグループが7%、55歳以上のグループでは4%であるのと比べると、若い年齢層が飛びぬけて多いことがわかる。

 BC州の大人は全体で46%が毎日フェイスブックを使っているという調査結果が出ているが、18歳から34歳のグループでは64%に膨らんでいる。35歳以上44歳以下では50%である。

 なお、ティーンエージャーの子供がいる家庭の大人がフェイスブックを利用する確率(58%)は、その年代の子供がいない家庭の大人の場合(43%)よりも大きい。

 大人にしても子供にしても、サイバーいじめがここまで広がっている社会では、オンライン上に書いた何気ないコメントによって仕事を失うことにもなりかねず、未来を危険にさらす可能性も出てくる。社会全体の取り組みが求められている。

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