バンクーバー新報 2012年10月18日第42号

 BC州ポート・コキットラムのアマンダ・トッドさん(15)がユーチューブにいじめの被害を訴えるビデオを流して1カ月後の今月10日に自殺した事件で、ハッカー・グループ「アノニマス」がアマンダさんをいじめた人物だとしてバンクーバーの男性を名指ししたことから、事件は新たな様相を呈してきた。

 ユーチューブで流した9分間のビデオで、アマンダさんは短い手書きのメモを次々と繰って、自分が遭ったいじめの体験を訴えかけていた。

 それによると、アマンダさんは7年生の時に知らない男からウェブカメラで胸を露出する誘いにのせられてしまったことを告白した。

 1年後、アマンダさんは、彼の前でショーを見せなければウェブカメラで撮った映像をアマンダさんの友だちや家族に送りつけると彼がフェイスブックで脅迫するメッセージを受け取った。それ以来、アマンダさんは不安症、鬱病、薬物、アルコール依存症になったと訴えていた。

 アノニマスは、当グループが特定したインターネットでアマンダさんをいじめていたと彼らが主張するバンクーバーの男性の名前と住所を発表した。アノニマスはたびたび、そのロゴとして漫画ガイ・フォークスのマスクを用いており、32歳の男性が児童ポルノ・サイトにポスティングもしていたと主張している。

 男性はネット上での正義の実行を誓う自警団的な人々によって、逆に今オンライン上で脅迫されている、とバンクーバーの被告弁護人エリック・ゴッターディ氏は語る。

 警察は、アマンダさんをいじめた張本人についての憶測がソーシャル・メディア上に流れているのを把握しているとしているが、それ以上のコメントは今の段階では差し控えている。

 全国児童反搾取グループ(cybertip.ca)は、昨年11月にアマンダさんの写真がオンライン上に流れていることを心配する市民からの情報を受け取ったことを明らかにした。

 同グループが2005年以来受け取った6万7000件の被害報告のうちの約1パーセントが、アマンダさんが遭ったような制御不能な重大なケースだという。

 「性的に好奇心が強いことは、若者として異常なものではありません。むしろ、正常な発達段階です。しかし、それがオンラインの世界と結びつくとき、影響は破壊的になりうる、ということです」と同グループの報道担当者アーナスンさんは語る。

 アマンダさんの家族は、アマンダさんをおとしめ、いじめたオンラインのページを知っている人に情報を提供するように訴えている。

 RCMPは24名の捜査員を動員して、この犯罪的いやがらせの実態を捜査している。

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