6月4日午前に行われた民主党代表選で、菅直人氏が勝利した。両院での首相指名選挙を経て菅新内閣が発足することが確実な情勢である。市場はすでにそのあたりを織り込んで動いている。鳩山由紀夫首相・小沢一郎民主党幹事長の辞任を受けて行われた世論調査では、民主党の支持率がある程度上昇した(読売が9%ポイント上昇して29%、朝日が6%ポイント上昇して27%)。おそらく週明けにマスコミ各社が報じることになる新内閣の支持率調査でも、20%前後にまで落ち込んだ鳩山内閣支持率よりも高い数字が出てくる可能性が高い。

 新しい内閣の支持率の水準感をつかんでおくため、1989年以降(竹下登内閣以降)の歴代内閣について、世論調査における各内閣の最終の支持率調査結果と、後継内閣の最初の支持率調査結果を、表にまとめてみた(月次で規則的に実施される時事通信のデータを使用)。

 一部の例外を除き、後継内閣の方が支持率は高くなっている。また、支持率が40%を上回る高めの水準で新内閣がスタートした事例は珍しくないことも分かる。ただし、出足で60%を上回ったのは細川、小泉、鳩山の3人だけで、この60%というハードルは、極めて高い。参院選を控える中、世論の民主党支持の復調度合いを探る上で、1つの着眼点になる。

 政治家としての菅氏の嗅覚、あるいは直感の鋭さには、定評がある。副総理時代に米軍普天間基地移設問題と距離を置いたことなど、いくつかのエピソードが聞こえてくる。

 しかし、菅内閣については、通常国会の会期が延長されないとすれば、参院選の6月24日公示、7月11日投開票というスケジュールが動かないこと、したがってリーダーシップを発揮して新たな政策を打ち出していく時間的な余裕がほとんどないことから、少なくとも参院選までの期間は、「選挙管理内閣」という色彩が濃いものと受け止められる。9月30日には民主党代表選挙があらためて行われる。参院選の結果を含むそれまでの実績づくりが、菅氏にとって、勝負の分かれ目になる。