いまのところは特別扱いされることが多いソーシャルメディアという概念も、やがてたいていの人にとって当たり前のことになる時が来る。
そしてその時が来たとしても、それが裏返されてソーシャルメディアが果たす役割が世の中から求められなくなることは、もはや考えにくい。
個と個、組織間の情報共有は、人間が社会生活を営む上で根源的な意味と価値を持ち、それをWebのテクノロジーによって利便化、高度化された社会が旧態に戻ることの意義は見出しにくいからだ。
一方で、それを支えるテクノロジーや利用されるサービスに関しては、目まぐるしく変わり続けることは間違いない。
ここ10年ほど、Web、ソーシャルメディアのテクノロジーやサービスは生まれては消えてを激しく繰り返してきたし、それによって相対的なレベルが上がれば上がるほど、競争はますます過酷になる。
長い歴史の観点で捉えるといまはその序章に過ぎなかったということになるであろうが、その序章の中ですら競争は激しい。ちょっと昔であれば2~3年かけて起こった環境変化が、いまだと1年足らずで成されてしまう感じだろうか。
続々発表される“LINE追撃”の無料メッセージ・通話サービス
例えば、無料メッセージ・通話サービス領域の目下の加熱ぶりなどもそんな現象の1つになろう。
10月19日、その領域をリードするLINEを追撃するかのように、ヤフーは無料メッセージサービス「カカオトーク」を展開する韓国カカオの日本法人カカオジャパンへの資本参加を発表した。
カカオトークは世界216以上の国や地域で利用されており、2012年9月末時点で全世界の利用者数は約6500万人と、LINEに匹敵する基盤を持つ。日本国内ではLINEに比べると利用者が少ないことから、それに追いつき追い越せということになるのだろう。
それから間もない10月23日、今度はディー・エヌ・エー(DeNA)が無料通話サービス「comm(コム)」の提供を開始した。2013年中頃までに世界で数千万、国内で1000万ダウンロードを目指すとしている。
ここではその機能的差異を検証することを目的としていないので詳細は他に譲るが、いずれにしてもそれぞれのサービスが先行するLINEに対して何らかの差別化、対抗戦略を打ち出していくことになる。
さらにグローバルに見た場合、中国テンセントが提供するメッセンジャーサービス「微信(WeChat)」なども2億人を超えるユーザーを抱えているし、意識しなければならない対象は他にいくつもある。