今回の口蹄疫ウイルスはどこから宮崎県に来たのか?
2000年の事例では、農水省は感染源を「中国産稲ワラの可能性が最も高い」と示唆した。それに対して今回は、農水省の担当者が「私見である」と断ったうえで、「前回と同じ稲ワラが原因なら宮崎県だけでなく全国で散発する可能性がある。今回は稲ワラの可能性は薄いと思う」と話したという。
今年は中国、台湾、韓国でも口蹄疫の発生が報告されている。つまり東アジア全域で口蹄疫ウイルスの活動が活発化しているわけで、現在宮崎県で猛威を振るっているウイルスがどこの国に由来するものかや、感染経路を特定するのは難しい。
以上の分析は5月28日付毎日新聞夕刊の記事に基づいたものだが、そこから分かるのは、これから先、宮崎県以外の場所でも口蹄疫が発生する可能性がかなり高いということである。
改めて言うまでもなく、口蹄疫は極めて感染力が強い。旅行者の衣服に付着したり、野生動物や渡り鳥によっても拡散するため、いくら検疫態勢を強化したところで発生を完全に食い止めることはできない。
したがって、今後は他の都道府県で口蹄疫が発生した際の初動対策のあり方が真剣に議論されるべきである。そのためにも宮崎県は1つのモデルケースとして、補償問題や殺処分の受け入れについても、他県の模範となるべく努めてもらいたいと思う。
甘い見通しで被害が拡大した
一部週刊誌では、赤松広隆農水相や東国原英夫宮崎県知事らを名指しして、口蹄疫を蔓延させた「犯人」と呼んでいる。確かに2人の危機感の欠如には驚かされるし、赤松大臣が肝心な時に外遊をしていたのは致命的なミスだった。
先見の明を誇るつもりはないが、4月20日に最初の発症がニュースで報じられた時、私は「やばい」と声を上げた。私だけでなく、全国各地にある屠畜場の検査員や、獣医学部の教員たちも「やばい」と声を上げたのではないかと思う。