週刊NY生活 2012年9月15日412号

 大学教育のネットワーク団体である米国州高等教育管理者協会(SHEEO)の2011年度の調査によると、政府系学生ローンにおいて、過去1年間に滞納している者が全米で590万人に上るという。

 全体の6人に1人が債務不履行状態となっており総額で760億ドルになるが、これは2年および4年生大学の年間授業料の総額を上回っている。

 大学の学費は過去40年間、一貫してインフレ率を上回るペースで値上がりしてきた。州立大学などが財政難で値上げを続け、私立も追随。現在、私立大学は年平均3万5000ドル、なかには年6万ドルを超えるところもある。

 このため学生ローン利用も増え続け、民間の銀行などが提供しているものを含めた学生ローンは現在、大学卒業生1人当たり平均で約2万5000ドル、総残高はおよそ1兆ドル近くにまで膨れ上がっている。

 一方で若者の就職難が続いており、16~24歳の失業率は16%を超え全体平均の倍になっている。運良く就職できたとしても大卒者の平均所得は07年から10年にかけて10%近く減少しているのが現状だ。そのため親元で暮らす若年層が増え、住宅需要も鈍化しているという。

 学生ローン問題は景気回復の足かせになっており、オバマ政権下でも負担軽減措置が取られてきたが深刻度を増しており、大統領選挙でも焦点の一つとなっている。

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