日本の製造業の2011年度における海外生産比率は33.3%で、過去最高となった。また、日本企業の中期計画における2014年度時点の同比率は38.5%にまで達する見込みだ(出所:国際協力銀行「2011年度海外直接投資アンケート調査結果」)。
日系中小企業のアジア展開が加速している
日本企業の対外直接投資の最近の動向としては、過去最高を記録した2008年の13兆2320億円に対し、2009年は前年比マイナス47%とほぼ半減し、2010年も前年比マイナス29%(2008年比でマイナス63%)で、4兆9388億円であった。
これが2011年に入ると、さらなる円高、東日本大震災に伴う電力問題などの苦難の状況下、2011年通年では9兆1262億円までに急増している。
四半期ごとで見ても、第1四半期8162億円、第2四半期1兆9184億円、第3四半期3兆3833億円、第4四半期3兆82億円と、概ね増加傾向を示した(出所:日本銀行「国際収支・貿易関連統計」)。
当面、日本の中小企業も、新興アジア諸国の急速な成長や親会社からの進出要請を受け、製造拠点などのアジアシフトを急速に進めていくだろう。
ジェトロ調査によれば、現時点で日系アジア現地法人数は約4万社だ。ちなみに、ASEAN4(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン)4292社、ベトナム820社、インド627社となっている。
しかし、日本の中小企業の今後のアジア展開を考えた場合、現地での新規投資や事業のさらなる成長のためには資金面が1つのボトルネックになる可能性がある。
日本の親会社へ依存してきた現地日系中小企業の財務面
従来、日系中小企業がアジア進出する際、初期投資資金をいかに調達してきたか。また、現地で事業成長を狙う場合、設備投資をいかにファイナンスしてきたのか。為替リスクを考えれば現地で迅速に資金が調達できれば理想的ではあるが、現実としては、日本の親会社からの出資や親子ローンがほぼ唯一の調達手段となっている。
その背景として、日系中小企業の進出が多いアジア諸国では貸出金利が比較的高い水準にあるため、現地ローンがグループ全体としての金利コストを上昇させることへの懸念がある。
また、地場銀行からの借り入れについては、コネクションがないこと、審査に対応できる環境にないこと(審査書類の煩雑さ、審査を受ける現地法人の財務人材不足など)から、現実的には難しいという事情もある。