高精細ディスプレイを備える新型ノートパソコン、そしてパソコンやモバイル端末の新たな基本ソフト(OS)――。
米アップルが11日に世界開発者会議(WWDC)で発表したものは事前にネット上で詳細な情報が流れ、大きな驚きはなかった。
しかし新たに打ち出した戦略はこれまで同社が提携してきた米グーグルとの決別を示すものとして、大きな話題になっている。
アップルがこの日発表したものには「アイフォーン(iPhone)」や「アイパッド(iPad)」などのモバイルOSの新版「アイオーエス(iOS)6」があり、この新OSでアップルは独自開発の地図サービス、SNSフェイスブックとの連携機能、機能強化した音声アシスタント「シリ(Siri)」などを提供する。
フェイスブックをOSに統合
アイオーエスではこれまでグーグルの地図サービスを採用していたが、今後はこれに代え、アップルが自ら設計したという地図アプリ「マップス(Maps)」を用意する。
またSNS分野でグーグルのライバルであるフェイスブックがOSのシステムレベルで組み込まれ、端末に搭載されるほかの機能と緊密に連携する。
例えばフェイスブックの友達情報がすべてのアイオーエス端末で最新のものに保たれる。友達の情報に変更が加えられると「連絡先」アプリに反映したり、イベントや誕生日などの情報を「カレンダー」アプリと同期したりできる。
中国版iPhoneは百度の検索を採用
このほか、フェイスブックの機能統合は音声アシスタントのシリも対象となっており、音声でフェイスブックに自分の近況などを投稿したりできるようになる。
iOSの標準的な検索機能にはこれまで通りグーグルのサービスが使われるが、アップルは中国向けのアイフォーンで同国検索最大手、バイドゥ(百度)のサービスを採用することを明らかにしており、グーグル離れが進んでいると言えそうだ。