週刊NY生活 2012年4月14日第391号

 116年前に日本史上最大の津波被害をもたらした明治三陸地震(1896年)被災現場の記事と写真9枚を掲載したニューヨークの地元紙『ハーパーズ・ウイークリー』(1896年8月8日付)が、現在ニューヨーク公立図書館本館で閲覧できることが分かった。現在も残る資料写真は希少で極めて貴重なものとされている。

 新聞は同館108号室のマイクロフィルムや専用パソコンを通じて閲覧が可能で、津波で甚大な被害を被った宮城県の被災地の生々しい写真が掲載されている。

 1896年当時は被災地周辺を結ぶ交通網が発達しておらず、取材関係者の多くが現地入りできない状況だったという。

 1857年創刊の同紙は1916年に廃刊しており、東京都の国立国会図書館内の資料でも同日付は欠番となっている。同紙のルーツともなった『ハーパーズ・マンスリー』初代編集長は、ニューヨークタイムズ創設者のヘンリー・レイモンドが務めており、同社関連の出版物は当時の米国内で広く愛読されていた。

NY公立図書館のマイクロフィルムとPCに残る
116年前に日本で過去最大の津波被害

震災により壊滅的な打撃を受けた1896年当時の宮城県被災地の現場を捉えた写真
拡大画像表示

 明治三陸地震は1896年6月15日に岩手県釜石市の東方沖200キロを震源に発生した。マグニチュード8.2、最大震度4の地震により、本州で観測史上最高となる38.2メートルの津波を記録。震災による犠牲者は2万人を超えた。

 ニューヨーク公立図書館本館で閲覧できる「ハーパーズ・ウイークリー」(1896年8月8日号)には、津波により倒壊した宮城県の家屋や、瓦礫に埋もれた現場に横たわる遺体を前に立ち尽くす被災者、赤十字の幕を入り口にかけた病院、辛うじて生存したが住居を失った人々の様子を捉えるなど、昨年の東日本大震災を彷彿させる写真が9枚掲載されている。

 同紙8月8日付については、立命館大大学院生(28)が昨年ネットオークションを通じて入手したことが最近話題となっている。

 ニューヨーク公立図書館は五番街と42丁目に位置し、開館時間は月曜から土曜まで午前10時から午後6時まで(火、水曜は午後8時まで)。日曜は午後1時から午後5時。詳細はウェブを参照。

※週刊NY生活 4月14日の1面と5面の記事を合わせたものです。

週刊NY生活・本紙記事の無断転載を禁じます。JBpress では週刊NY生活の許可を得て転載しています)