2009年12月7日から本連載が始まり、隔週で掲載してきたが、今回が最終回となる。当初は1年間の掲載予定だったが、いつの間にか2年4カ月もの月日が経っていた。ご高覧いただいた読者の皆さんに感謝するとともに、JBpress編集部に謝辞を述べたい。

特殊な「IT言語」を話す人たちであるということを理解する

 私がこの連載を通じて経営者の皆さんに伝えたかったことは何か? 最終回ということで、整理してまとめてみよう。

 システム業界は、一般の企業の人たちから見たら「異世界」である。同じ日本人であっても、システム業界で働く人は「異邦人」なのだ。

 彼らは「IT言語」という特別な言語を話す。システム構築とは、その「異邦人」たちとの会話から始まる。だから通訳が必要だ。その通訳が「BA(ビジネスアナリスト)」であるということは以前お話しした。

 会話の際に一番大事なのは、システムに対する考え方や思想が違うので、時間をかけて相互に理解し合わなければならないということだ。そして、システム開発にクライアント側が参画することも大事だということを、「システムイニシアチブ」という言葉を使って説明した。

 ここで手を抜くと、あとになってから「仕様変更」がやたらと増えて追加工数・費用がかさみ、システムが肥大化する。場合によっては係争騒ぎになって、双方が無駄な時間を過ごすことになる。

 事前に会話に十分な時間をかけていれば、そういう事態にはならず、より良いシステムが完成する。ただし「異邦人」には世間一般の常識とか法的な知識を備えていない人も大勢いる。その点も考慮が必要である。

システムの再構築は「断捨離」で

 「異邦人」はなまじ優秀なため、ユーザーの細かい要望まで聞き入れ、器用に微細部まで作り上げてしまう。