橋下徹大阪市長が、大阪市職員に対して組合活動や選挙活動の有無などを訊ねるアンケートを取ったことが話題になっています。

 組合側が不当労働行為に当たるとして大阪府労働委員会に救済を申し立てたこともあってか、組合はもちろん、法曹界や法学界からも反対の声が上がっているようです。

 橋下大阪市長はもともと弁護士です。彼自身、「法的にぎりぎりのところを狙っている」と言っているくらいですから、アンケートは法的にグレーゾーンに当たるのでしょう。

 橋下市長の狙いは、こうした組合の反発があることを想定しており、組合との闘争で注目を集め大阪維新の会の支持者を増やそうとしていると見ている人が多いようです。実際そのような意図もあるでしょうが、それだけが理由でしょうか?

アンケート結果を橋下市長はどう使うのか

 考えてみて下さい。反橋下派が言うように、アンケートに「勤務時間内に組合活動をやっていた。特定の政党の候補者の選挙活動を行った」と書いた職員が本当に減給や降格などの不利益を被ったら、グレーどころか間違いなくブラックになります。「ぎりぎりのところを狙っている」人がわざわざブラックゾーンに踏み込んでいくでしょうか。

 橋下市長の深謀遠慮が、反橋下派には全く見えていません。

 大阪市役所の職員の立場に立って考えてみましょう。大阪都構想を引っさげて誰が見ても暴れん坊の市長が誕生して、職員は期待と不安が入り交じった感情を持っていたことでしょう。

 最初に主に左翼筋から大きな反発を招いたのは教育基本条例案で、教員を2年連続「D」評価で処分するとしていたのを橋下市長は撤回しています。職員は、強引なやり方だけで押し通そうとする人ではないような印象を受けたでしょう。

 そして出てきたのが、今回のアンケートです。政治活動、選挙活動をやっていた、あるいはやらされていた職員は、確かに恐怖を感じたでしょう。アンケートをもとにして何をされるか気が気ではないでしょう。