先月、韓国を代表する大手自動車・電機メーカーの年間業績が発表された。一部の専門紙やビジネス誌での扱いは大きかったものの、日本の大手メディアでその詳細な中身を伝えたのはわずかだ。

 大震災の影響や円高、タイの洪水被害と日本企業を取り巻く環境は過酷で、お家芸たる車、電機業界の業績は惨憺たるものとなった。日本企業は韓国企業にシェアを奪われ続けているが、その要因は外部の突発的な事象だけではない。

日本勢が束になっても韓国主要メーカーにかなわない

 2月初旬、日本の総合電機・民生電機大手の2012年3月期の連結業績見通しが出揃った際、ある大手紙にこんな見出しが躍った。

 「韓国勢の追い上げで」・・・。

 冒頭で触れた通り、日本の総合電機や自動車各社は今期、突発的な外部要因に苦しめられた。それに乗じる形で、韓国や台湾、そして台頭著しい中国の新興企業が日本企業を追い込んだのは紛れもない事実だ。

 この要素は他の連載コラムでも触れたのだが、改めて強調しておきたい。「韓国勢の追い上げ」というのは著しい事実誤認だ。

 液晶パネルや半導体製造のサムスン電子を見てみよう。同社の昨年(2011年)1年間の本業の儲けを示す営業利益は16兆2000億ウォン。日本円換算で約1兆1000億円だ。

 ちなみにパナソニックの2012年3月期予想(米国会計基準)は300億円だ。様々な悪条件により当初予想の1300億円の黒字から下方修正されたことを勘案しても、サムスンの利益がいかに巨額か実感できるのではないだろうか。

 さらに分かりやすくしよう。サムスンの1兆1000億円という営業利益は、日本の主要な電機大手の利益を足した額よりも大きいのだ。「韓国勢の追い上げ」という見出しがいかにミスリードかご理解いただけよう。

 同じ要領で現代自動車を見てみよう。同社については、売り上げに対する営業利益の割合を示す営業利益率を例に取ってみる。同社の場合、これが14%なのだ。

 利幅が極めて大きい高級スポーツカーに特化している独ポルシェは約12%。小型大衆車や中型サルーンが主力の現代自動車の体質がいかに強いか、ご理解いただけるのではないだろうか。

 電機と同様、営業利益率についても日本勢と比較してみよう。トヨタ自動車の今期予想は1.1%、ホンダは2.5%。劣勢な日本勢の中、唯一好調と言われた日産自動車でさえ、5.4%にとどまっている。