1月30日に、東京・丸の内で開催されたある新年会に参加してきた。今年の新年会はこれで打ち止めである。私は毎年参加しており、これが終わると今年も1年間頑張ろうと思う。

 この会は三菱地所が主催しており、参加者は、上場企業や丸の内に居を構える外資系企業、三菱地所が支援しているベンチャー企業などの経営者や社員である。

 私はこの会では古参になってしまったが、最近の特徴としてインドの会社が目立つようになった。三菱地所がビルのテナントに誘致する企業として、インド企業に着目していることも挙げられる。

 新年会では、いつの間にか私の周りがインド人で埋め尽くされるという場面もあった。その中の1人、アイ・ティ・イー(東京・丸の内)のパンカジ・クルーマ・ガルグ社長と意気投合した。新年会が終了した後、2次会で銀座に行き、3次会で「おでん屋」に行ってしまった。

 彼は今、農作物の品質を管理する「アイスバッテリー」という冷却・保冷システムの開発・販売を手がけている。航空貨物もアイスバッテリーを用いて保冷することができるので、鮮度を保った状態で輸出することができるという。インド人が、日本の農業を輸出産業にしようとしているのである。

 彼は次のように力説する。「農業は英語で『アグリカルチャー』と言うように、文化(カルチャー)と密接に結びついています。日本の農業文化は素晴らしいと思います。TPPに参加したからといって、疲弊して衰退することは考えられません。このチャンスを生かさないのは非常にもったいないと思います」

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 なぜガルグ氏とそんなに意気投合したかというと、農業の話に限らず、彼が提供する話題があまりにも面白かったからである。彼はこんな質問を私に投げかけた。

 「ノリハマさん、あなたはマイクロソフトとインテルが合弁会社をつくったらどうなると思いますか?」

 ガルグ氏はインド国立大学でコンピュータサイエンスを専攻後、来日した。神戸製鋼、安川電機などを経て、インテルでグローバル戦略マネジャー(プランナー)を務めた。「Centrino」をはじめとするモバイル機器用のプラットフォーム(CPUやチップセットなど)の開発や販売促進に携わり、世界標準の製品を送り出すことに成功した。