21日のNY市場はロンドンの流れを引き継いでユーロは売り優勢の展開が続いた。本日のECBによる3年物資金供給オペ後の下げで、前日まで続いていたリバウンドへのモチベーションは消失したようだ。

オペ自体は予想以上の旺盛な需要となったが、逆に大量の流動性放出が事実上の追加緩和実施との捉え方もある。クリスマス休暇を前にして動意薄でもあることから、短期筋の戻り売りが下げを加速させた面もあったように思われる。

ユーロドルは1.3030付近まで下落していたが、ここ数日、1.30割れの失敗も続いていることから、次第に下値に慎重になっている様子も伺え、米株も下げ渋ったことから、後半は下げ止まっていた。

しかし、戻りも鈍い状況。きょうもS&Pが警告を発していたが、フランスが格下げになった場合、EFSFの支援規模は想定の3分の1の2930億ユーロまで縮小する可能性を示していた。フランスの格下げへの警戒感とそれに伴う影響を考慮すれば、ユーロの戻りも慎重にならざるを得ないといったところかもしれない。

◆スイスが上下動
NY時間にスイスフランの上下動が目立った。ビトマーシュルンプフ・スイス財務相(次期大統領)が、作業部会はマイナス金利をなお検討していると述べたことで、スイスフランは急速に売りで反応した。ただ、今度はスイス議会が政府(連邦参事会)が提案しているマイナス金利を可能にするための二つの枠組みの提案を否決したことから、スイスは下げ渋った。

マイナス金利までは実行の可能性は低いように思われるが、いずれスイス中銀が対ユーロでのスイスフランの上限をさらに引き下げ(ユーロスイスは引き上げ)を実施するとの観測は根強い。

なお、スイスの大統領は国家元首ではない。スイスには他国のような権限を集中させた首相や大統領は存在せず、連邦参事会が通常の内閣にあたり、議会がそのメンバーを選出する。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)