前回は、女性がその人の子供を産みたいと思う男性と、結婚したい男性がかなりな確率で違うということを説明してきました。今回は、女性が妊娠しやすい時期、つまりその人の子供をつくりたいと思う時期にどんな男性が好まれるのかを見ていきましょう。

 「妊娠しやすい時期にどんな男性が選ばれるのか?」に関して、実験結果を披露しながら解説していきます。既に判明しているだけでも、6つあります。

その1 妊娠しやすい時期は「男らしい顔」が好きになる

 性周期と男性の好みについて、最も早く研究が行われたのは、男性の「顔」との関係です。人間の顔は性淘汰の賜物です。顔は個別認識を可能にし、異性を惹きつけるのに最も容易な訴求ツールです。

 言葉を交わさなくても(聴覚)、体臭を嗅がなくても(嗅覚)、キスをしなくても(味覚)、セックスをしなくても(触覚)、見ただけで(視覚)相手がある程度分かるものです。

 人は「見た目」が9割とか10割とか巷間言われていますが、それは明らかに非科学的で間違いとしても、第一印象が形成されるのに最も重要なのは視覚です。

 通常、異性への興味は視覚から入り、その後、聴覚→嗅覚→軽い触覚→味覚、と続き、最後にすべてを総合したセックスへと続きます。ですから、最初の入り口のところで異性への好みがはっきり出るのは、当然と言えるかもしれません。

 男性の顔の特徴について、視覚による恋愛の研究の第一人者である英国ブリストル大学のペントン・ヴォウク氏と知己を得た時にお借りしたCGでお話しします。

 図表6-1(次ページ)がCGで作られた人工的な顔です。左側が50%女性的にした顔、右側が50%男性的にした顔です。

 男性的な顔というのは男性ホルモンであるテストステロンによって形作られるものですが、テストステロンが多いと、骨格がしっかりし、あごが大きく、頬骨が張り、眉毛が隆起している顔になります。

 そのため、右側の男性の顔は、目から下の部分のあご、頬骨、えら、眉毛の隆起をかなり大きめに変えていて、50%女性にした顔よりたくましく野生的な顔になっています。