男性とは違って、女性は異性の好みの変化が性周期によって生じるのではないかという報告が、21世紀に入って続々と提出されてきました。

自覚症状がなく好みがくるくる変わる女性という生き物

 性周期で変化するとは男性には理解しづらい点ですし、女性に聞いたとしても自覚症状が必ずしもないようなので、理論的にはこうなっているという仮説をじっくりと解説していくことにします。

 まず、第2章の「男の資産価値」の話を思い出していただきましょう。第2章では、女性が根源的に求める男性像として、(1)体格・体力に優れ、(2)経済的資源を十分に持ち、(3)その資源を長期的に安定供給してくれて、(4)魅力的な顔や体型を持つような男性が大好きであるということでした。

 同時に、これら4つをすべて持ち合わせる男性は存在しないことも述べました。普通の男性は、一長一短、知性はあるけど優柔不断、お金持ちだけど浮気性、顔はひどいけどマイホームパパにはなれそう等々、どれを取ってどれを我慢するかといったように、恋愛・結婚は妥協の産物というのが普通です。

 恋愛バブル現象が激しく生じている場合にはすべてが素敵に見えて、妥協していることさえ自覚がないのですが、恋愛熱が冷めて平常心に戻れば、妥協してきた年月の長さをひしひしと感じるのは誰でも経験することです。

65%の女性が優しい男性が好きなはずなのだが・・・

 通常はテストステロンの多寡によって、次の2つのタイプの男性に分類することができます。

 1つはテストステロンが多い場合。

たくましくて出世タイプだが、かなり浮気性の「肉食」系

  もう1つはテストステロンが少ない場合

たくましくもなく出世も期待はできないが、優しいマイホームタイプの「草食」系

  20世紀の進化生物学者は、たくましい「肉食」系と優しい「草食」系の男性を分けて、女性に好みを選ばせました。