【お断り】JBpressのメールマガジン「Business Agenda」が2010年1~3月に連載した「私のメディア活用法」から抜粋し、編集したものです。
村上雄一・三井住友海上火災保険広報部課長兼報道チーム長
私のメディア活用法(7)
報道チームのメンバーが分担して、自宅で全国紙の朝刊をチェックしている。自社や保険業界に関する重要記事を見つけたら、「朝日新聞に●●●の記事が載っています」などと1行速報にして携帯メールで飛ばし、全員で情報を共有する。共同、時事両通信社の速報は各自が携帯で確認している。
起床後、NHKの「おはよう日本」をつけておくが、TBSの「朝ズバッ!」で各紙の1面をチェックすることもある。出社後、クリッピングサービスから届く大量の記事から、当社に必要なものを担当者がピックアップして切り抜き集をつくる。経済雑誌も必要に応じてそれに加える。
切り抜きのカテゴリーは、「自社関連記事」「損保業界」「生保業界」「銀行」「マクロ経済」「時事系」のほか、「得意先」というのもある。例えば、今回のトヨタ自動車の(大量リコール)問題などがこれに入る。トヨタは全国にディーラー網があるから、当社の様々なセクションと接触があり、問題の経過をきちんと毎日把握しておく必要がある。また、当社は駅伝や柔道に力を入れており、スポーツ関連の記事もクリッピングの対象になる。
ウェブ上ではヤフーなどのニュースも見る。さらに、危機管理を担う総務セクションと一緒にネット対策を始めている。とりわけ、当社に対するマイナス報道について目を光らせておく必要がある。外部の専門の会社に「キーワード」を渡して、ネット上の掲示板の書き込みなどをチェックしてもらっている。
将来も「紙」の新聞はなくならないと思う。一見して入手できる情報量では、電子版は紙にかなわないのでは・・・。また、1面か経済面か、あるいは「かこみ」か。見出しは何段なのかという「記事の扱い」自体が重要な情報だと考えている。
リーマン・ショックの危機対応で劇的な変化が・・・
社内からネタを取る上では、取締役のほか執行役員も参加する経営会議(月2回)の資料が役立つ。会議後に回してもらい、社内全般の動きをチェックする。ネタになりそうな部署に電話を掛け、「その後いかがですか」などとプロジェクトの進捗状況を聞いたりする。
とはいえ、社内情報の収集能力には個人差がある。自分の古巣から話が聞けても、他のセクションからは「知らない人だね」と言われて何も取れないことがある。