前回は東南アジアのスマートフォン事情を紹介した。その中で「日本のスマートフォンの進化と市場の成長に注目している」という話をした。

 東南アジアから戻ったら、ブロードバンドタワーの新社長就任式の招待状が送られてきた。

 ブロードバンドタワーはデータセンター事業、ブロードバンド配信事業などを手がけるITサービス企業である。会長の藤原洋氏とは、同氏がインターネット総合研究所にいた時代からの知り合いで、ことある度にいろいろなイベントやセミナーの案内状をもらっている。

 藤原氏はまさにネット時代の最先端を行く方だ。我々のようなこてこてのシステム開発業者から見ると、一歩も二歩も先を走っているように見受けられる。

 新社長就任式では、様々な講演が行われるという。

 基調講演はNTTデータの山下徹社長である。「クラウド・スマートフォン・ソーシャルネットワーク時代のITビジネス」と題されたパネルディスカッションでは、ヤフーやKDDI、IIJといったそうそうたる企業の出席者が名を連ねる。

 「これは面白い話が聞けるのでは」と期待し、参加することにした。

新興国で成長するインターネットマーケット

 冒頭に、ブロードバンドタワーの藤原会長の講演があった。今後の10年間のインターネットマーケットの変化について、以下の4つの視点から話をしてくれた。

(1)新興国における急速な普及
(2)モバイルアクセスの急進
(3)ソーシャルメディアの拡大
(4)ローカルインフラの発展

 今までのインターネットは欧米日韓中などを中心に利用されてきた。今後は、他のアジア諸国、南米、アフリカなどの新興国で本格的に普及する。IPアドレス、回線が飛躍的に増え、マーケットは相当な規模になると見込まれる。

 またインターネットの利用環境は、従来のPCから、スマートフォンやタブレット端末によるモバイルアクセスへと急速に移行する。さらに、フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアの利用者が拡大する。

 日本の地域インフラも発展する。原発事故の影響から、再生可能エネルギーを中核としたエネルギーの地産地消が叫ばれるようになった。それを実現するためには、スマートグリッドの構築や地域分散型データセンターの設立などが必要であるという話であった。

香港とシンガポールがアジアのクラウドハブ

 続いてNTTデータの山下社長が登壇した。講演タイトルは「NTTデータの考えるクラウド時代のITビジネス」である。