12日のロンドン市場は、ユーロ売りが広がった。イタリア債など欧州債売りが再燃、欧州株や商品市況が下落するなど欧州発のリスク回避の動きが強まっている。ユーロドルは序盤の1.3350近辺から節目とみられる1.3250近辺まで下落、その後の戻りは鈍い。ユーロ円も103円台後半から前半へと水準を下げている。
大きな動きが見られたのがユーロポンドで、0.85台半ばから0.84台後半へと下げ、3月上旬以来の安値水準となっている。ポンドは序盤に売られたものの、大口のユーロ売り・ポンド買いが持ち込まれると上昇に転じた。ポンド円は120円台後半まで下落後、121円台後半へと反発している。
ただ、その他の主要通貨ではドル買い・円買いが優勢となる典型的なリスク回避パターンとなっている。豪ドル円は79円近辺から78円台後半へ、カナダ円は76円台前半から一時75円台後半へと下落した。ただ、ユーロほど上値は重くなく、欧州株の下げがやや一服すると底堅い動きもみせている。ドル円はドル買いが優勢だが、77円台後半で推移しており、78円台乗せには届いていない。
◆イタリア債入札は無事通過したが、欧州債は軟調
この日は主要経済指標の発表が無く、市場の関心はEU首脳会議後の欧州債の反応に集まっている。1年物のイタリア債入札が実施され、予定通り70億ユーロが発行された。利回りは5.952%と前回の6.087%から低下した。しかし、欧州債への売り圧力が再燃している。ギリシャ2年債利回りが151%台とユーロ導入来最高水準となったほか、10年債ではイタリア債が6.8%近辺、スペイン債が6%台乗せとりまわり上昇が相次いでいる。先週はEU首脳会議への期待感から欧州債の下落が一段落していたが、今週は不安な幕開けとなっている。ECBは引き続き欧州債購入を実施しているもようだが、あまり効果はみられていない。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)