日本は、アジア唯一のG7メンバーの座に胡坐をかいている場合ではないのかもしれない。メディアでは、韓国に学ぶべき──といった論調が目立つ。

「脱亜」論はもう古い?

「五輪メダル獲得 中韓から謙虚に学ぼう」(2月17日付毎日新聞社説)
「世界に躍進する韓国企業に学ぼう」(3月4日付日本経済新聞社説)

 サムスン電子など韓国企業の世界市場での躍進、バンクーバー五輪での韓国勢のメダルラッシュなどを踏まえ、急速に存在感を増しつつある隣国のパワーに改めて注目が集まっている。2010年は1910年の日韓併合から100周年。韓国メディアもこうした論調に対し、福沢諭吉の「朝鮮民族は自力で近代化できない」とした朝鮮観を引き合いに出し、「日本が逆に教えを請う時代がやってきた」とまんざらでもない様子だ。

トップダウンのスピード経営で躍進する韓国企業

牟太ボンが男子500メートルを制す 長島2位 加藤3位、バンクーバー冬季五輪

伏兵モ・テボムは、1000メートルでも銀メダルを獲得。韓国内でも大きな期待をかけられていなかったが、大舞台で一気に花開いた〔AFPBB News

 スピードスケートの500メートル、バンクーバー五輪で優勝したのは韓国の牟太釩(モ・テボム)。金メダルを期待されていた長島圭一郎、加藤条治は銀・銅メダルに甘んじた。牟は韓国選手団の中でも「第4の男」に過ぎず、メダル候補の下馬評にも上がっていなかった。そんな伏兵が冬季五輪の花形競技を制するあたりに、韓国の予測不能の勢い、怖さがある。

 経済分野でも金融危機から早期に回復し、韓国企業は過去数年間で一気に薄型テレビや半導体、携帯電話などの世界市場でトップクラスのシェアに達しており、その勢いは注目に値する。自動車でもシェアをじわじわと拡大中だ。

 日本市場での韓国製品は、一昔前の「安かろう、悪かろう」のイメージが強すぎ、日本製品より割安でも売れない。サムスン電子は2007年に日本の家電市場から撤退。米国や中国で販売好調の現代自動車も、日本市場は攻略できず、2009年には乗用車販売からの撤退を決めた。