7日のNY市場、序盤はS%Pが欧州15ヵ国やEFSF債の格下げの可能性を示唆したことからユーロは売り優勢で始まった。しかし、下押す動きも限定的で、週後半のEU首脳会議やECB理事会といった重要イベントに対する期待感も強い。結局、ユーロは買戻されている。
また、この日はカナダが強い動きとなった。きょうのカナダ中銀の声明が利下げの可能性を示唆しなかったことが要因だが、欧州債務危機の波及に関しては警戒感を示したものの、肝心の米経済については個人消費の堅調さから見通しよりも若干強いとしている。慎重姿勢は継続しているもののハト派な雰囲気もなく、中立といったところ。成長見通しの下方修正など直近のカナダ中銀の判断は利下げの可能性を示唆するものが多かったが、今回はポジティブサプライズとなった模様。カナダ円は77.00近辺まで上昇し、この日の高値圏で推移した。
反面、弱かったのがスイス。一部にはスイス中銀が国際決済銀行(BIS)にユーロ買いスイス売りを要請したとの噂が流れていた。9日にスイス政府が定例会議を開催するが、前日は現在実施しているユーロスイスを1.20以上に誘導するという設定を1.30以上への引き上げを発表するのではとの憶測も出ている。また、来週は年内最後のスイス中銀政策委員会が開催される中、マイナス金利の実施など様々な思惑が出ている。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)