6日の東京市場は、ユーロ主導で円買い・ドル買い圧力がみられた。

5日のNY市場で、米格付け会社S&Pがユーロ圏15カ国(ギリシャ、キプロス除く)の格付け見通しをネガティブ、としたことで欧州の格下げ懸念が広がった。仏独首脳会談では財政統合を進める方向で合意されたが、ユーロ圏共同債について肯定的な発言はなく、即効性のある対応には疑問が残る結果だった。ユーロが売られ、ユーロドルは1.34台半ばから1.34割れまで下落した。

きょうの東京市場ではユーロドル1.34近辺、ユーロ円104円台前半での比較的静かな取引から始まったが、仲値過ぎからは再び売り圧力が強まり前日安値を下回った。ユーロドルは1.3360近辺、ユーロ円は103.90近辺まで下落した。ポンドもつれ安で、ポンドドルは1.56台前半、ポンド円は121円台半ばへとじり安の展開。朝方発表された11月の英BRC小売調査では、既存店売上げが前年比1.6%低下と5月以来最大の減少だった。5%台のインフレ率や比較的暖かい気候が消費者にクリスマス気分を盛り上げさせない理由とされている。また、午後に豪中銀政策金利発表を控えた豪ドルもリスク回避ムードのなかで軟調。豪ドル/ドルや豪ドル円は前日安値を割り込む動き。第3四半期の豪政府支出が予想以上に減少したことが利下げ見通しを広げた面も指摘されていた。アジア株も小安く推移している。アジア開銀は中国などアジア新興国の成長見通しの引き下げを発表。日経平均は次第に値を下げ、後場には100円超下落して8600円割れとなった。そのなかで、ドル円は77円台後半でのもみ合いが続いている。

◆豪中銀利下げ、声明を受けて豪ドル一段安に
日本時間12時半に発表された豪中銀政策金利は、0.25%引き下げられて4.25%となった。大方の予想通りの利下げだったが、声明内容が弱かったことで一段と豪ドル売りが強まった。豪ドル円は79.05レベル、豪ドル/ドルは1.0165レベルへと下値を広げている。声明では世界経済成長の鈍化が指摘されており、政策金利を小幅に引き下げる余地がある、としている。中国の成長鈍化や欧州問題が懸念材料。インフレは2012年、2013年に中銀目標に合致する公算とされ、足元のインフレ圧力は商品価格の低下で抑制されている、としている。2ヶ月連続での利下げとなっており、景気見通しのムードは一段と弱いものとなっている。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)