29日のロンドン市場は、ユーロ相場が神経質に振幅し、上に往って来いとなった。序盤は欧州株が軟調に始まり、ユーロはやや下押し。ユーロドルは1.33台前半、ユーロ円は103.60レベルへと下落した。イタリア債入札を控えてやや期待感も広がり、欧州株は上げに転じる。ユーロは下げ渋り。注目のイタリア債入札は75億ユーロとほぼ目標額が発行され、ユーロ買いが加速。ユーロドルは1.3445近辺、ユーロ円は104.40近辺まで急伸した。ただ、イベント通過で上値には売りも待ち構えていたもよう。ECBが国債購入による流動性を吸収仕切れなかったと報じられると売りが強まり、ユーロドル1.3350割れ、ユーロ円103.70レベルに下落、上げを帳消しにした。欧州株も上げ幅を縮小している。この後のNYタイムにはユーロ圏財務相会合が予定されており、EFSFに関する具体的な措置が発表されることが期待されている。

◆その他主要通貨はドル売り優勢に
その他主要通貨ではドル売りが優勢だった。欧州株高やユーロ高の局面に乗じて、ポンドドルは1.55近辺から1.56台半ばまで上昇。これにはユーロ売り・ポンド買いのフローも重なったようだ。オズボーン英財務相が秋季予算演説を実施しており、成長見通しを下方修正しているが、ポンドは底堅さを維持している。豪ドル/ドルは1.0075レベルまで上昇する場面があったが、パリティ付近へと上げ幅を縮めている。ドル円は78円近辺から一時77.60近辺へと下押し、その後も77円台後半と上値が重くなっている。欧州株や米株先物が方向感に欠ける振幅を続けており、きのうのようなリスク選好ムード一色とは行かなかった。アメリカン航空が破産法申請とのニュースもあった。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)