前回に引き続き、関西独立リーグ「兵庫ブルーサンダーズ」代表、そして同チームの現役選手でもある高下沢(こうげ・たく)のインタビューを続ける。
私が高下に、最近見たブルーサンダーズの試合について「あれ、いい試合でしたね」と感想を述べたところ、彼から返ってきたのは意外な言葉だった。
「有坪さん、あの試合よかったですか? 私はそうは思いません。私は7年独立リーグを見てきました。正直なところ、独立リーグの抱えている問題はそう簡単に解決しないと思っているんです」
「あの試合、双方にいくつもエラーが出ました。プロを名乗るのは恥ずかしいレベルです」
「NPB(セ・リーグ、パ・リーグで行われるプロ野球のこと)の試合を見た人が、独立リーグを観戦して面白いと感じてもらえるとは思えないんです。独立リーグはレベルが低いと言われますが、その通りなんですよ。レベルの高い選手のやっている試合の方が面白いんです。独立リーグはNPBより面白くないんです」
おいおい、何を言い出すんだ? アンチ独立リーグの者が言っているのと同じことを、球団代表が言っている。
あなたは独立リーグの面白さを伝えなくてはならないのであって、独立リーグをけなすのが仕事じゃない。好意的な記事を書こうとしている私の身にもなってくれ。だいたいそんなことを考えているなら、どうして球団代表になったのだ?
そんなことを考えながら、私は高下の言葉に耳を傾けていた。
高校野球よりレベルは高いのに観客数で負けるのはなぜ?
「だから地域に根ざさなければならないと思うんです」
「どういう意味ですか?」
高下の言葉に混乱している私には、彼が何を言おうとしているのか、すぐには理解できなかった。高下の言いたいのは、こういうことだ。
レベルの低い野球と言えば、高校野球も同様だ。しかし、高校野球は多くのファンがいて、甲子園に出るとなると、バスを何十台も走らせて応援に来ることもある。独立リーグはNPBよりもレベルは低いが、高校野球よりは高い。なのに観客動員が高校野球より劣るのはなぜなのか。