25日の東京市場は、全般にドル買いが優勢だった。ユーロドルが1.33台半ばから前半へ、豪ドル/ドルは0.97台前半から0.96台後半まで水準を下げた。全般に欧州債務懸念が根強く、比較的安全とみられるドルに資金を移動する動きとなっている。昨日のフィッチによるポルトガル債格下げに続き、早朝にはムーディーズがハンガリー債の格下げ、見通しネガティブと発表している。日経平均も下げて始まり、取引時間中の年初来安値を再び更新した。ドル買い傾向は午後に入ってからも継続しており、ユーロドルは1.33近辺、ポンドドルは1.5450台へと一段安になった。この後のロンドン市場では、イタリア短期証券入札が実施される予定。事前に懸念が広がっている面もあるようだ。
ドル円は、取引序盤は77円台前半でじり高となっていたが、仲値過ぎからは独自の買いフローが入って、円安の動きも広がった。ドル円は一時77.55レベルと今週水曜日の高値77.58レベルに迫った。ユーロ円は102円台後半から103円台を回復、豪ドル円も74円台後半から一時75円台を回復している。日経平均も前引けではプラス圏を回復した。ただ、昼にかけては円売りもやや一服している。前日の感謝祭によるNY市場休場に続いて、本日もNY市場では株式・債券が短縮取引となる。積極的な売買が手控えられるムードのなか、市場の流動性は細ってきており、まとまった額でのフローが主導して相場が振れやすい面ものぞかせている。
◆政府、円高対応策の進捗評価を発表
政府は円高対応策の進捗評価と発表した。国際金融市場の不安定化などに対し、政府・日銀が危機感を共有して緊密連携、為替市場の過度な変動は経済・金融の安定に悪影響、市場を注視し適切に対応、日銀には適切果断な政策運営で経済を下支えするよう期待、欧州危機が深まれば為替市場を含む金融資本市況が一段と変動の可能性、としている。これを受けて内閣府幹部が山口日銀副総裁のコメントを公表している。同副総裁は、27日に決定した追加緩和の効果浸透を見ていきたい、最近の金融資本市場は一言でいえば引き続き厳しい、投資家のリスク回避姿勢の強まり、世界的株安や米欧社債スプレッド拡大に現れている、相対的に安全な円も買われやすくなっている、などと現状を分析していた。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)