24日の東京市場は、ドル円が77円近辺へと下押ししている。ドル円の売りはリスク回避の円買い圧力が働いた面が強いようだ。欧州債務懸念が根深く、日経平均は寄り付き直後に8200円を割り込んでザラ場での年初来安値をつけた。昨日の海外市場ではドイツ連邦債入札で札割れの事態を招いたことや、フランス格下げの可能性が指摘されたことなどで欧米株式市場が大幅安、ユーロが売られた。官房長官など政府高官からも欧州債務危機の日本経済への悪影響を懸念する声が相次いだ。また、月末を控えて輸出から散発的に売りが出たとの観測もあった。ただ、昼からは、アジア株が底堅く推移していることで、リスク回避ムードはやや一服している。午後には、S&Pの担当者が、日本国債はダウングレードに近づいている、と指摘したことでやや円売りの反応がみられたが、動きは限定的だった。
◆ユーロ安が一服、期待感と調整で
昨日1.33台前半と1ヶ月半ぶりの安値水準となったユーロドルは、東京市場では1.33台後半へと買戻しの動きが続いている。ユーロ円も朝方に102円台へ下落したあとは103円台を回復する動き。独ビルト紙が、連立政権ではこれまで強く反落してきたユーロ圏共同債発行について支持に向けた複数のシナリオが検討されているという記事を掲載予定、と報じられたことでこれまで強硬に導入を反対していたドイツ政府の姿勢に変化がみられるか、との期待感もあったもよう。先週まで、ユーロ売りポジションがかなり蓄積している、との見方も。また、豪ドル/ドルも朝方の0.97割れから午後には0.97台半ばへと水準を上げている。豪ドル円も75円台を回復。香港株の持ち直しなどが好感されている。ただ、午後にかけては各通貨とも伸びを欠く動き。全般に欧州危機をテーマとする基調に変化はみられず、今日の動きはまだ調整の範疇といえそうだ。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)