21日のNY市場、欧州債務懸念は依然として根強く、また、週内に期限を迎える米超党派委員会の財政赤字削減策が合意に至らないとの見方が強ま、米欧の二重の債務懸念から、市場はリスク回避の雰囲気が席巻した。米株式市場や原油も大幅安となったものの、なぜかユーロだけは買い戻されている。一部にはギリシャが来週にもEUから融資第6弾を正式決定されるにではとの情報もあり、買戻しを誘発したとの指摘も出ていた。また、ドル円も買い戻しが優勢となり、ドル円もユーロドルも同時に上昇するという直近では稀有な展開が本日は見られていた。

ただ、資源国通貨やポンドは戻りが鈍かった点を考慮すれば、概ねユーロのショートカバーが単独で強まったともの見られる。ユーロは売り優勢の展開が続いているが、一方でショートの積み上がりも指摘され始めている。UBSは顧客資金の動きに基づく調査を発表しており、年金や保険など実需筋は先週、2009年7月以来の規模でユーロをドルに対して売っていたと述べた。先週は毎日、ドルに対してユーロを売り越しており、イベントリスクの推移とはもはや何の関係もなく売っているしている。ただ、一方で、年末にかけ、この持ち高が解消される局面があるかもしれないとも指摘しており、そうなればユーロ回復の局面もあるかもしれないとも語っていた。

ユーロドルは1.34台前半から1.3540近辺まで戻したものの、上値は重くなった。ドル円も77円の抵抗が強い。レベルを復活するまでには至らなかった。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)