2010年3月16日、鳩山政権は発足から半年を迎えた。政権交代による成果はそれなりにあったと評価したいが、トータルで見ると新政権は多くの国民の期待を裏切り、失望に変えてしまったのではないか。それは最近の世論調査の結果が示す通りだ。内閣支持率は続落し、「危険水域」とされる2割台に近づく結果も出ている。なぜ支持率は下げ止まらないのか。(敬称略)

予算案が衆院通過、過去最大92兆円

政権発足から半年過ぎたが・・・(参考写真)〔AFPBB News

 時事通信の世論調査(3月5~8日実施)によると、内閣支持率は30.9%(前月比4.8ポイント減)、不支持率は48.5%(同3.8ポイント増)。支持率は「危険水域」が目前に迫ってきた。無党派層の支持率を見ると、21.9%(同6.2ポイント減)と激減し、不支持率は50.0%(同4.1ポイント増)に達している。

 一方、毎日新聞の調査(3月13、14日実施)は支持率43%(前回比6ポイント減)、不支持率45%(同8ポイント増)となり、初めて不支持が支持を上回った。支持率はなお4割台を維持したが、発足当初の支持率77%から下落に歯止めが掛からない。

 参院比例代表の投票先では、民主党31%VS自民党22%。自民党が伸び悩む一方で、みんなの党が12%を記録して公明党の5%を7ポイントも上回っているのが目を引く。民主党に失望しても、自民党の復権も望まぬ無党派層の多くがみんなの党に流れているようだ。

 3月15日、元総務相の鳩山邦夫が自民党執行部に離党届を出し、新党結成を表明。与謝野馨元財務相に近い園田博之は幹事長代理職を辞任するなど、民主党を攻めきれない自民党内の混乱に拍車が掛かり始めた。

「政治とカネ」鳩山・小沢に強まる国民の不信感

「政治とカネ」で国民は不信感

 内閣支持率下落の理由はもちろん、首相・鳩山由紀夫や民主党幹事長・小沢一郎らの「政治とカネ」の問題が影響し、政権に対する有権者の不信感が大きく膨らんだからにほかならない。

 しかし、それだけではない。鳩山の言葉の「軽さ」は如何ともし難く、政策面でも鳩山政権は「言ってることとやってることが違う」からである。首相がトップリーダーとしての指導力に欠け、実行力を疑われているのだ。

 民主党がマニフェスト(政権公約)で示した脱官僚の政治主導はまやかしだった。予算削減は思うようにできず、経済成長戦略も打ち出せない。公務員制度改革は霞が関によって骨抜きにされ、マニフェスト実行は「嘘っ八」と国民が見抜き始めたのである。

 民主党が選挙で露骨な利益誘導を図り、業界・団体を締め付けようとしている実態も明るみになった。「民主も自民も変わらない」と有権者は鳩山内閣に不信感を抱きつつある。自民党が古い体質のままで「受け皿」になっていないから、民主党が救われているにすぎない。

 今後、焦点の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題でも、米国と沖縄を満足させる妙案はまず出て来ないだろう。鳩山はますます窮地に陥り、参院選前の退陣説が現実味を増してくるに違いない。これをどう乗り切るつもりなのだろうか。

 子ども手当支給法案や高校授業料の無償化法案を成立させ、バラマキだけで支持率が上がると思ったら大間違い。また、行政刷新担当相・枝野幸男に公益法人などの「事業仕分け」をやらせて、支持率アップを図ろうとしても限界がある。