最近、リクルートスーツを着た学生をよく見かける。当社のすぐ近くに青山学院大学があるせいか、この時期に外に出ると、リクルートスーツの学生を見かけないことはまずない。こうした学生たちを見ると、私はなぜか年の瀬を感じてしまう。

 そんな矢先、専修大学から特別講義の依頼を受けた。経済学部、商学部の3、4年生の学生たち約120名に話をしてほしいという。

 テーマは、「起業家に学ぶ企業経営」というものだ。企業経営者や創業者を招いて、「様々な経営局面において経営者としてどのように対処してきたのか」「ビジョンの設定やイノベーションの実現のためには、何をなすべきか?」などを講義してもらうのだという。

 当社はシステム開発会社でもある。学生たちはシステム業界のことを「10K」(きつい、きたない、帰れない、給料が安い・・・)などと言って、忌み嫌っているという。そうした誤解をなんとか解かなければならないと思いつつ、講義を始めた。出席者は130名ほどであった。

休憩時間になっても質問を浴びせてくる学生たち

 私は、そもそもシステム開発とはどのような仕事かについて学生たちに説明した。

 システム開発の仕事では、顧客となる会社の中枢部に入り、その会社の社員のように、いやそれ以上にその会社の業務内容やビジネスモデルを理解しなければならない。経営者が望んでいることやその会社のビジョンを理解し、具現化していく喜び、感謝される喜びがある。

 そして、完成したシステムにスイッチを入れる時の感動などを、業界の裏話も交えながら話した。どの学生もウトウトすることなく、しっかりと聞いてくれている。

 システム業界が必要とする人材像についての話で講義を締めくくると、あと10分、時間が余っていた。そこで、学生からの質問を受けつけることにした。

 手を挙げる学生の数が多いのにビックリしたが、質問に丁寧に答えているとあっという間に10分が過ぎてしまい、終了時刻となった。

 だが、休憩時間になってからも質問攻めに遭う。次の授業がない学生から、もう少し、もう少しと質問が浴びせられる。

 「どうすればシステムコンサルタントになれるのか」「学生のうちに取っておくとよい資格はあるか」「システム業界の勢力図はどうなっているのか」など、システム業界への就職に関心があるらしい。