厚生労働省が発表している毎月勤労統計の1月速報で、現金給与総額が前年同月比+0.1%となり、わずかながらも20カ月ぶりに増加したことが話題になった。内訳を見ると、所定内給与は前年同月比▲0.5%で、減少を継続。一方、所定外給与は同+2.2%で、18カ月ぶりに増加。残業時間の増加が給与上乗せにつながった形である。また、特別給与は同+10.3%で、3カ月ぶりに増加した。冬のボーナスの支給時期が1月にずれ込んだ会社が少なくなかったものと推測される。

 このように、景気全般の持ち直しを背景に、主要な賃金統計についても明るい数字が出てきているわけだが、先行きは楽観できない。グローバルな需給ギャップの拡大を背景に、雇用人員の過剰感は根強い。

 厚生労働省が実施した2月の労働経済動向調査で、正社員等過不足判断DI(「不足」-「過剰」)は、調査産業計で▲5になった。昨年11月に実施された前回11月調査に比べると、マイナス幅は3ポイント縮小してはいるが、マイナス圏(=「過剰」超)であることに変わりはない。同じ調査で、パートタイム労働者過不足判断DIは+2(前期比▲1ポイント)。こちらは2四半期連続の「不足」超だが、プラス(=「不足」超)の幅は縮小した。

 賃金動向を見ていく上での「草の根」の統計としては、アルバイトの平均時給についての、求人情報サービス関連企業による2種類の調査がある。データ数に限りはあるが、過去の推移を見ると、毎月勤労統計の現金給与総額に対して、ある程度の先行性も認められる。