鳩山内閣支持率が下げ止まらない。それよりも重要なのは、不支持率がついに50%前後まで上昇してきたことだろう。主因は「政治とカネ」の問題への対応のまずさにあると受け止められているわけだが、政治的求心力の低下はマーケットに対し、今後どのような意味を持つのだろうか。2011年度予算編成を軸とする財政政策運営にどのように影響があるのかを中心に、債券市場は事態の推移をよく見ていく必要がある。

 3月6~7日に共同通信が行った世論調査で、鳩山内閣支持率は36.3%となり、前回2月5~6日調査の41.4%から低下した。一方、不支持率は48.9%で、前回調査の45.1%から上昇した。政党支持率を見ると、民主党が29.0%に低下し、自民党が24.6%に上昇。夏の参院選については、民主党が「単独過半数を占めない方がよい」という回答が58.6%に達し、「単独過半数を占めた方がよい」の28.3%を大きく上回った。参院選比例代表の投票先についての回答は、民主党が26.9%、自民党が26.3%になった。なお、「いま首相にふさわしい政治家」については、自民党の舛添要一前厚生労働相が23.7%で、最多数。以下、鳩山由紀夫首相8.3%、菅直人副総理7.4%、岡田克也外相7.2%、石破茂自民党政調会長5.4%の順で、谷垣禎一自民党総裁は2.3%にとどまった。

 3月5~7日に読売新聞が行った世論調査で、鳩山内閣支持率は41%となり、前回2月5~6日調査の44%から低下した。一方、不支持率は50%で、前回調査の47%から上昇。政党支持率を見ると、民主党が31%、自民党が20%。夏の参院選で民主党が過半数を「獲得する方がよい」という回答は33%にとどまり、「そうは思わない」が57%となって過半数を占めた。参院選比例代表の投票先についての回答は、民主党が25%、自民党が22%となった。

 40%未満の鳩山内閣支持率は、主な世論調査では、すでにほかに2つ出ていた。1つは、時事通信が2月4~7日に実施した調査の、35.7%という数字。しかし同調査で不支持率は44.7%にとどまっていた。もう1つ、朝日新聞が2月20~21日に実施した調査では、鳩山内閣支持率が37%だった。しかし不支持率は46%で、50%まではまだ少し距離があった。

 政治評論のプロは流れを見るために、支持率ではなく、不支持率をまず見るという。その不支持率が今回出てきた2つの調査で、50%前後に切り上がった。鳩山内閣にとって、一段と厳しい結果が出てきたと言えるだろう。

 ここで問題になるのは、財政政策のあるべき姿を国民がどう考えているのか、ということである。端的に言うと、悪化した景気への対応で拡張財政を継続することを望んでいるのか、それとも財政健全化に向けた動きを望んでいるのかということである。

 世論の状況は、こうした財政の拡張か緊縮かの二者択一にはなじまないというのが、厳密に言えば正解なのだろうが、消費税率引き上げの議論を政府税調が早めに開始することになったことについての世論調査の結果は、示唆に富む。

 共同通信の調査では、「消費税率引き上げはやむを得ないと思う」が54.0%で、過半数。「そうは思わない」が41.5%。「分からない」・無回答が4.5%となった。