鳩山政権による日本郵政グループの見直しが最終局面を迎えている。2010年3月中に最終的な郵政改革案を閣議決定し、通常国会に法案を提出する予定だ。しかし、持ち株会社・日本郵政に対す政府出資比率や、持ち株会社から子会社への出資比率などをめぐり与党内でも意見がまとまっていない。

郵政民営化、4事業会社でスタート

「郵政」はどこに向かおうとしているのか?〔AFPBB News

 夏の参院選を控えて、国民新党の支持母体である全国郵便局長会(全特)が発言力を強めている上に、当事者である日本郵政グループ内でも、旧大蔵省出身の斎藤次郎社長と郵政プロパー組とでは思惑が全く異なる。

 「政府関与」「ユニバーサル(全国一律)サービス維持」「業務範囲拡大」はこちら立てれば、あちら立たずのトレードオフの関係にあり、全てを満足させることは極めて難しい。果たして鳩山連立政権はこの難解な連立三元方程式の「解」を導き出せるのだろうか。

「郵政3事業」体制に先祖がえり

小泉政権当時、竹中平蔵郵政民営化担当が主導した改革では、従来からの郵政3事業に「郵便局会社」を加えた4事業会社体制とした。しかし、民営化の見直しでは、再び、3事業会社体制に戻す

 政府が2月8日に公表した改革の素案は、2007年の郵政民営化に際して実施した4分社化を否定、従来からの「郵政3事業」体制をベースとした組織に組み替えるものだ。

 具体的には、持ち株会社・日本郵政と日本郵便株式会社(郵便事業)、郵便局株式会社(郵便局ネットワーク運営)を統合し、郵政事業持ち株会社とした上で、「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命保険」を子会社として傘下に置く。

 金融2社は、銀行法、保険業法に基づく一般の金融機関とし、それぞれの株式を持ち株会社が3分の1以上保有し続ける。その持ち株会社株式の最低でも3分の1以上を政府が保有し続けることで、金融でもユニバーサルサービスを維持することが柱となっている。

 「金融持ち株会社」には厳しい兼業規制がかけられているため、ゆうちょ・かんぽを傘下に持つ持ち株会社は、本来であれば郵便事業はできなくなってしまう。そのため、法律上の例外規定を設ける案も盛り込まれた。また、地銀や信用組合などの提携ローンに出資する形で、郵貯資金を地方の中小企業に回すことも打ち出している。