日本の貸し会議室と言えば、長机にパイプ椅子、色調を抑えた殺風景な部屋が思い浮かぶ。そんな部屋では、話し合いが行き詰まり、講師の話を傾聴するのに退屈したりということも起こりかねない。飲み物はペットボトルのお茶、食事を挟む会合でも、その場で箱弁が配られる・・・というのは、読者諸氏も何度も体験済みのことだろう。
それが、一転して、黒地にピンクの花柄の壁と天井の部屋や、ツタで飾った緑色の部屋だったらどうだろう。シャンデリアのある美しいキッチンでコーヒーブレイクをとってみたら? そんな型破りな、華やかに装飾した貸し会議室がニューヨークで話題を呼んでいる。
特別感が漂う空間
アート色が強いこの華やかな貸し会議室の名は、Meet at the Apartment(通称Meet)。高級ショッピング街のニューヨーク市ソーホーに、2008年10月にオープンした。同社は今後5年ほどで世界中に展開する意向で、まずはロンドンとドバイでサービスを開始する準備をしている。
全面積約232平方メートルのアパートは、地上1階、地下1階の2フロア。外観からは会議室とは想像もつかない。入り口を入ると、白を基調としたエントランスホールと廊下がつづく。
上階は約24平方メートル(日本のホテルのツインルームの広さ)の会議室2室(パーラーとラウンジと呼ぶ。座数は各部屋12)が並び、その片側に図書室、もう片側にはキッチンが連なる。廊下を挟んでコピー室と洗面所がある。上階は着座で35人まで収容できる。立ち席式なら100人まで収容できる。
会議室は黒いソファや黒いテーブルを配して黒で統一している。各部屋は黒いカーテンで仕切るため用途に合わせて部屋の大きさを変えられる。カーテンを開けておけば4室すべてがつながり開放感が広がる。もちろんカーテンで区切って完全に会議室2室にしてもいいし、開けて会議室1室という使い方もある。薄型テレビ、コンピューター、インターネット接続などや会議に必要なオーディオ装置、ホワイトボード、文具はすべて用意している。
会議の間のリフレッシュにも配慮している。大きな窓があるキッチンは10人が座れる円卓を置いた。冷蔵庫や電子レンジを備え、飲み物やスナックのほか日中向けに季節の果物や、会議終了が夕方になる場合はワインとチーズも提供している。ただし食事だけは別料金になり、近隣のケータリングサービスを手配する。
図書室(座数7)には美術やデザインなどの書籍を100冊以上集めた。新聞、ビジネス雑誌、ファッション雑誌も取り揃えている。