8日のロンドン市場でスイスフランは下落から一転、上昇する展開となった。ジョルダン・スイス中銀副総裁のフラン高抑制の姿勢が弱かったと捉えられたことから、フランの買い戻しが入った。フランは、ユーロに対して10月19日以来、ドルに対して同20日以来、ポンドに対しては5月11日以来の水準まで一時下落していたが、それぞれに対して上昇に転じた。
副総裁は講演で、依然フラン高が続いており弱くなるべきだとの認識を示したが、通貨の切り下げ競争に加わるのは誤りだと述べたことが材料視されたようだ。市場の一部では、ユーロスイスの下限設定を1.20から1.30に引上げるとの観測も出ていたようだ。この後、日本時間22:30にヒルデブランド総裁の講演が予定されているので注意しておきたい。
フラン以外の主要通貨ペアでは大きな値動きは見られなかった。ドル円は78円を割り込んでいるが、東京市場からの値幅は14銭程度に留まっている。ユーロドルは下落して始まった後は、本日の高値圏に反発している。市場の焦点となっているイタリアだが、10年物国債利回りは6.74%台とユーロ導入後の高水準を付けた後、6.58%台まで一時押し戻された。欧州株式やNY原油先物が上昇しており、市場はリスク回避一服となった。
注目は23:30頃に予定されているイタリア議会による予算関連法案の採決。与党議員5人や主要野党が棄権すると表明したり、連立与党の北部同盟党首が首相退陣を要求したりで既に政権崩壊の様相だ。
Klugアナリスト 鈴木信秀