31日のNY市場はユーロの利益確定売りが強まった。月末要因も重なった感もあるが、欧州懸念が依然として根強い。先週の欧州首脳による支援策決定以降もイタリア債の売りは続いており、きょうも同様の動きが見られている。東京時間に日本政府・日銀がドル買い介入を実施したことで、ドル高となっていたことも、ユーロ売り・ドル買いに拍車をかけていた。また、米MFグローバル証券が欧州債務危機の煽りで破産法を申請したことも市場のセンチメントを悪化させた。同証券は重債務国の国債を積極的に購入し、大部分はイタリアの短期債を購入していたという。

先週の急伸で過熱感も出始めていたユーロドルは後半になって売りを加速し、一時1.38台前半まで急落、10日線の水準をブレイクしている。

◆売り推奨は多いが、しばらくは触らないのが得策か
一方、ドル円は78.00付近での振幅が続いた。介入実施後の高値79.50付近からは緩んでいるものの、底堅さは維持している。政府・日銀も監視しているものと思われ、手を出せない状況。

介入は実施したものの、維持できないと見方は多く、早速、各米金融機関からは売り推奨のレポートが顧客向けに出ていたようだ。

ただ、G20を前にしての介入なだけに、日本の政府当局もそれなりの覚悟で実施しているものと想像される。弱みのスワップが外交の基本だが、欧州にはSPIV出資、米加には牛肉を売却し、介入オプションを購入したか。

売り推奨は多いものの、しばらくは触らないのが得策かもしれない。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)