31日のロンドン市場は、政府・日銀による介入実施後の動きが注目された。ドル円はロンドン早朝に79.20近辺で膠着して始まった。一時79.55近辺へと再び上昇したが、欧州勢が参加し始める時間帯になると買い注文は引っ込み、売り先行の展開となった。ゴンサレスパラモECB専務理事が、単独為替介入は好ましくない 、と述べるなど協調介入の可能性は低いとの見方も広がり、欧州勢はドル円の下値を探る展開となった。78.80近辺では売買が交錯する神経質な動きとなる場面もあったが、再び売り優勢となって77.70台まで反落、東京市場での介入による上昇幅を半減させている。その後は77円台後半での揉み合いを続けている。

白川日銀総裁は会見で、為替介入、為替相場の安定に寄与することを強く期待、としているが、先週から今週の名目実効為替レートは必ずしも円高ではない、との見解も示していた。五十嵐財務副大臣は定例会見で、過度な投機的な動きに対しては断固たる阻止とる、介入が止んでいる状態ではない、と述べて今後の継続介入への意欲を示していた。ロンドン市場では上昇一服となったが、明日以降の政府・日銀の動きにも引き続き注意が必要だ。

◆ユーロに売り圧力、欧州経済の回復への懸念
また、ユーロ売りの動きもみられている。欧州株が仏銀行株などを中心に下げており、イタリア国債などの下げも目立っている。ドル円の動きに市場の関心が集まっているが、ユーロもその他主要に対して軟調になっている。ユーロドルは、序盤に1.4050近辺まで反発する場面もあったが、その後は1.40挟みの神経質な取引が続いている。ユーロ円はドル円の下げに伴って111円台から109円近辺まで反落している。対ポンドや対資源国通貨でもユーロは軟調だった。

9月のユーロ圏失業率が発表されたが、10.2%と市場予想10.0%より悪化しており、欧州全般の雇用情勢が引き続き改善していないことが示されている。今週のECB理事会では大半のエコノミスト予想は政策金利据え置きだが、一部には利下げ予想もでている。OECDの経済見通しでもユーロ圏景気は鈍化、緩やかなリセッションとなる可能性も、ECBは利下げすべき、と指摘されていた。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)