前回はインドのシステム開発会社を訪れた時の様子をお伝えした。今回は、引き続いてベトナム編をお届けする。

 2008年にベトナムに行く機会があった。私の友人が2000年にベトナムで会社を創業し、「一度来ないか?」という誘いを以前から受けていたのである。

 ベトナムでは、50名規模のシステム開発会社は「大企業」と呼ばれている。ホーチミンで2つの大企業、「Fuji NET」と「IACP-Asia」を訪問した。

 私の友人というのは、「Fuji NET」を創業したグウェン・ダン・フォン社長である。フォン社長は日本にいたことがあり、日本で一番高い山「富士山」を社名に付けた。私が訪問した日は、ちょうどCMM(ソフトウエア能力成熟度モデル:システム開発能力の成熟度を図る世界標準の基準)の「Level3」認定を受けた日であり、フォン社長は上機嫌だった。

 顧客のほとんど(98%)は日本企業である。仕様書や設計書などは、日本企業から日本語のまま受け取る。技術者の平均人月単価は30万円弱であり、日本の約4分の1。Javaなどを使ったオープン系の開発を得意としている。

 何よりも印象的だったのは、私が訪問すると仕事をしている社員が全員起立し、「いらっしゃいませ」と歓迎してくれたことだ。帰る時も「ありがとうございました」と全員が起立して見送ってくれた。日本以上に日本の礼儀作法を理解し、実践しているのである。

日本語のパワーポイントで会社を説明

 もう1社の「IACP-Asia」はフランス企業「IACP Informatique」のベトナム法人に当たり、IBM製大型コンピューターの「保守・メンテナンス」を主な事業としている。米国のIBM本社の承認を得て設立されたという由緒正しい会社である。

 裕福な家庭に生まれたヒュン社長は、ベトナム戦争時代にフランスに「疎開」していた経験がある。その時に現地のフランス人女性と結婚し、事業を起こした。