「Web2.0」という、数年前に世間を騒がせたキーワードを覚えているだろうか。
制作者がシステムを構築し、利用者がそれを利用するという一方通行の関係から、利用者も情報を出し合いながらシステム構築や、コンテンツの作成に参加するようになった状態を示すその言葉は、SNS「mixi」の上場申請が認められた2006年に日本でもポピュラーなものとなった。
しかし、そんなweb2.0というキーワードも最近めっきり聞かなくなった気がする。フェイスブック、ツイッターなど、web2.0スタイルのサービスが普及した今、わざわざその言葉を使うこともなくなったからかもしれない。
目覚ましいウェブの進化、変化のない政治
拡大画像表示
目覚ましい進化を遂げるウェブ世界の一方で、この国のシステムは一向に進化をみせていない。
前回の原稿「居座れ鉄人、僕が菅直人首相を支持する理由」を書いてから約3カ月。私たちはまた、新しいリーダーを迎えた。
前々から指摘している通り、この国の最大の弱点は政治家のリーダーシップではなく、支持政党が安定しない国民の浮気性であるから、今回の首相交代も全くの無意味だ。
震災後半年経っても思うように進まない復興計画も、先送り主義、事なかれ主義で凝り固まった古いシステムの惨状を表しているようだ。
政府の計画を待ち続ける地方自治体と、政府の「県でコンセンサスを得ないとなにもしないぞ」というスタンスは今も変わらず、それぞれの言い分を盾に受け身に徹する姿からは、震災前から感じていたものと同じ種類の閉塞感を覚える。
被災地は今、震災前から日本が直面していたものと同じ問題に直面しているのかもしれない。そして、この問題を解決できるのは、新しいシステム「2.0」の登場にほかならない。
私がこの夏に参加した民間による復興プロジェクトは、そんな2.0の名を冠したものであった。その名も「石巻2.0」。